4月は年金や各種給付の内容を見直すタイミングでもあり、「自分は上乗せ給付の対象になるのか」と気になる方も多いのではないでしょうか。

年金生活者支援給付金は、一定の所得以下の方を対象に年金へ上乗せして支給される制度で、支給は「偶数月(2月・4月・6月・8月・10月・12月)」に行われます。

ただし、対象条件や手続き方法が細かく分かれており、「知らないまま対象外だと思っていた」というケースも少なくありません。

本記事では、年金生活者支援給付金の仕組みから対象者、2026年度の給付額、申請方法までを整理して解説します。

1. 年金生活者支援給付金の仕組み

年金生活者支援給付金制度について1/9

年金生活者支援給付金制度について

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

年金生活者支援給付金は、年金に上乗せして支給される給付金で、以下の3種類があります。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

「老齢・障害・遺族」、それぞれの基礎年金を受給中の人が、公的年金を含めても所得が一定基準以下となる場合に、2カ月に一度、受け取ることができるものです。

2. 対象者の条件を整理|老齢・障害・遺族それぞれの要件

3種類の年金生活者支援給付金には、それぞれの支給要件が設定されています。3種類共通の基準は、受給者本人の「前年の所得」です。

老齢年金生活者支援給付金には、これに加えいくつかの要件が加わります。

2.1 「老齢年金生活者支援給付金」支給要件

「老齢年金生活者支援給付金」支給要件2/9

「老齢年金生活者支援給付金」支給要件

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下(※2)である。

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

2.2 「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の対象者

  • それぞれの年金(障害基礎年金もしくは遺族基礎年金)の受給者である
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額)

※ 障害年金、遺族年金等の非課税収入は除く

それぞれの給付金において、上記の要件をすべて満たす場合、年金生活者支援給付金を受け取ることができます。

3. 2026年度の給付額|いくら上乗せされるのか

2026年度の年金生活者支援給付金の給付額は、前年の物価変動率にもとづき、+3.2%の増額となりました。

3.1 【2026年度】年金生活者支援給付金の給付額

年金生活者支援給付金の給付額3/9

年金生活者支援給付金の給付額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

  • 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5620円
  • 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級7025円・2級5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円

老齢年金生活者支援給付金のみ、上記の基準額をもとに「保険料納付済期間や免除期間」に応じて、実際の支給額が計算されます。

4. 申請方法と手続きの流れ|封筒の種類ごとの対応

年金生活者支援給付金4/9

年金生活者支援給付金

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金」

年金生活者支援給付金の支給対象と判定された人には、日本年金機構から請求書が届きます。

年金受給状況によって、書類形式や郵送タイミングが異なります。ここでは、3つのケースに分けて、送付時の封筒や、手続き方法を紹介しましょう。

4.1 【ケース1】これから老齢年金を受け取り始める人(緑の封筒)

これから老齢年金を受け取り始める人には、65歳になる3か月前に、年金受給に必要な「年金請求書(事前送付用)」に同封して「年金生活者支援給付金請求書」が送付されます。

必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金の請求書とともに年金事務所に提出しましょう。

4.2 【ケース2】すでに年金を受給している人の場合(うす緑の封筒)

年金生活者支援給付金請求書の封筒6/9

年金生活者支援給付金請求書の封筒

出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)送付用封筒」

すでに基礎年金を受給中で、新たに年金生活者支援給付金を受け取ることができる方には、2025年9月1日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。

令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)7/9

令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)

出所:日本年金機構「令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)の送付について」

必要事項を記載したら同封の目隠しシールを貼り、差出人欄に住所・氏名を記載したうえで切手を貼ってポストに投函しましょう。

※支給要件に該当するか確認できない方には、年金生活者支援給付金請求書(A4型)および所得情報等を確認するための所得状況届が届きます。

4.3 【ケース3】老齢基礎年金を繰上げ受給中の場合(うすだいだい色の封筒)

年金生活者支援給付金の請求書封筒、繰上げ受給中の人用8/9

年金生活者支援給付金の請求書封筒、繰上げ受給中の人用

出所:日本年金機構「65歳の誕生日を迎えた方で、老齢基礎年金を繰上げ受給している方」

老齢基礎年金を繰上げ受給中の方のうち、年金生活者支援給付金の受給権が発生すると見込まれる場合、65歳になる誕生月の初旬(1日生まれの方は前月の初旬)に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されます。

必要事項を記載したら同封の目隠しシールを貼り、差出人欄に住所・氏名を記載したうえで切手を貼ってポストに投函しましょう。

※支給要件に該当するか確認できない方には、年金生活者支援給付金請求書(A4型)および所得情報等を確認するための所得状況届が届きます。

一度申請すれば、支給要件を満たす限り2年目以降の手続きは基本的に不要です。また、所得が増えるなどして支給要件を満たさなくなった場合は、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届き、給付金の支給は停止されます。

なお、2025年1月以降に65歳に到達し、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき)」が届いた人は、「電子申請による提出」ができるようになりました。

電子申請により提出した場合、郵送による提出は不要です。

5. 制度改正の動き|年金制度全体の見直しポイント

2025年6月13日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が参議院本会議で可決され、法律として成立しました。

この改正は多様化する働き方や家族構成、ライフスタイルを踏まえた年金制度を目指すものです。また、私的年金制度の拡充や所得再分配の強化などによって、シニアの暮らしの安定に繋げることなども大切な狙いです。

今回の改正の全体像を見ておきましょう。

5.1 主な改正内容

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年金制度改正の全体像

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

社会保険の加入対象の拡大

  • 中小企業において短時間で働く人などが、厚生年金や健康保険に加入し、年金増額などのメリットを受けられるようにする

在職老齢年金の見直し

  • 年金を受け取りながら働くシニアが、年金を減額されにくくなり、より多く働けるようにする

遺族年金の見直し

  • 遺族厚生年金の男女差を解消。子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする

保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ

  • 月収が一定以上となる人が、賃金に応じた年金保険料を負担し、現役時代の賃金に見合った年金を受給しやすくする

その他の見直し

  • 子どもの加算などの見直し、脱退一時金の見直し
  • 私的年金の見直し:iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)加入年齢の上限引き上げなど

上記の改正内容からも、公的年金は「老後の受給額」だけの話ではなく、現役世代の働き方やキャリアプラン、人生設計とも深い関わりを持つことが分かります。

6. 年金生活者支援給付金の対象・支給額・手続きを踏まえた確認ポイント

年金生活者支援給付金は、一定の所得以下の方に対して年金へ上乗せされる重要な支援制度ですが、「申請しないと受け取れないケースがある」点に注意が必要です。

特に、支給は偶数月ごとに行われるものの、対象条件や申請状況によっては受給できていない可能性もあります。

また、老齢・障害・遺族で要件が異なるため、「自分は対象外だと思っていた」という見落としも起こりがちです。

4月のこの時期に、ご自身の所得状況や年金の種類を踏まえて対象かどうかを確認し、必要な手続きができているかを見直しておくことが大切です。

気になる場合は、早めに通知や案内を確認しておくと安心でしょう。

参考資料

川勝 隆登