先週、米国ではダウ平均・S&P500・ナスダックの3つの株式指数が揃って高値を更新し、日経平均も20,000円回復と株式市場は活況となりました。一方、為替市場では2日(金)の雇用統計発表を機にドルが大きく値下がりしています。ただ、急落はしたものの、ドル円は5月の安値を更新せず、踏みとどまった格好となりました。

今週は、ドル円が5月の安値110.2円そして110円を割れてしまうかどうかに注目です。8日(木)に予定されているコミー前FBI長官の議会証言が、今後の相場の行方の鍵を握っていると思われます。

先週の為替動向振り返り

先週は、2日の米国雇用統計発表に向け売買は手控えられ、為替市場は大きな値動きが生じませんでした。しかし、5月の新規雇用者数が13.8万人と予想の18万人を大幅に下回る結果が発表されると、為替市場ではドルが急落。ドル円は雇用統計発表前の111.6円台から110.4円台まで1円以上の円高が進み、週の取引を終えることになりました。

原油価格の下落が継続、ドルインデックスが安値を更新

先々週に50ドルを割れた原油価格(WTI)は先週も下落が継続。週の取引は47ドル台後半で終わりましたが、一時46ドル台に突入する場面もありました。

また、ドルの相対的な強さを表すドルインデックスも雇用統計を機に大きく下落し、安値を更新しています。さらに、ドルインデックスの安値更新に伴い、逆相関の傾向の強いユーロドルは高値を更新しました。

なお、堅調な株価を背景にVIX指数は歴史的な安値水準を維持。原油価格の上昇と合わせて見ればリスクオン相場入りのように見えますが、一方で金価格が上昇するなど必ずしもリスクオン相場とも言い切れない状態となっています。

今週の見通し

雇用統計を契機に為替市場は大きく動きましたが、問題はこれらの値動きが継続するか、それとも一時的なものとなるかという点です。

為替市場ではドルインデックスが安値を更新し、ユーロドルは高値を更新。またドルインデックスと連動傾向の強いドルスイスフランも安値を更新しています。

一方で、ドル円は大きく下落はしたものの、5月18日に付けた110.2円台の安値更新には至っていません。今週のドル円は110.2円台の安値を更新するかどうか、そして110円を割れてしまうのか、という点が大きなポイントとなります。

今週は指標発表としては大きなイベントはありませんが、8日にコミー前FBI長官の議会証言が予定されています。株価が堅調に推移するなどリスクオンに傾きつつある金融市場ですが、コミー前長官の発言次第では、トランプ政権への懸念からリスク回避の動きが再燃する可能性があるため、その発言は要注意と言えます。

なお、同じく8日にはイギリスで議会選挙が行われます。与党保守党の勝利が予想されていますが、一方で労働党の予想外の健闘も報じられており、労働党の獲得議席次第ではポンド市場波乱の可能性もあります。

まとめ

堅調な株式市場と雇用統計後のドル急落が先週の金融市場全体の特徴でしたが、雇用統計の前後で相場が天井や底を付けるケースは過去に度々生じているため、株価の堅調さを背景に今後の市場を楽観視するのは時期尚早と言えそうです。

雇用統計の翌週で、本来は大きなイベントの無い今週ですが、8日のコミー前FBI長官の議会証言次第では相場が反転する可能性があります。議会証言の前と後で相場が一変するリスクを踏まえて、今週の為替市場に臨みたいと思います。

LIMO編集部