4. 厚生年金の期間が10年未満の場合
厚生年金の加入期間が10年未満の場合でも、国民年金の加入資格を満たして保険料を納めていれば、受給資格が得られる可能性があります。
ただし、上乗せである厚生年金部分が少なくなってしまうため、将来の老齢年金は極端に少なくなってしまうでしょう。
仮に月額の報酬が30万円だった場合、厚生年金に10年加入しても月額約1万6000円のみの上乗せです。
国民年金は満額でも約78万円なので、月額にして6万5000円。合計で約8万1000円なので、将来が心配になる金額ではあります。
年金の資格があることが安心であるのは大前提として、自助努力として老後資金の形成も必要となるでしょう。
貯蓄、保険、iDeCoなどから自分に合う方法を見つけ、早めに資産形成を始める必要があります。
5. おわりに
国民年金と厚生年金の受給資格について、加入期間が与える影響をまとめてきました。
「厚生年金の加入期間が10年ないと年金がもらえない」というのは一部で誤解があるので、まずは自分が受給資格を満たしているのか確認する必要があります。
一方で、資格を満たしていても「老後資金として十分」とは言えません。
将来に向けて、少しずつ準備を始めていきましょう。
参考資料
太田 彩子
執筆者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
LIMO編集部記者/編集者/元公務員
京都教育大学卒業。株式会社モニクルリサーチが運営する、くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部において、厚生労働省管轄の公的年金制度や貯蓄、社会保障、退職金など、金融の情報を中心に執筆中。大学卒業後は教育関連企業での営業職を経て、2010年に地方自治体の公務員として入職。「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務に従事した。主に国民健康保険料の賦課、保険料徴収、高額療養費制度などの給付、国民年金や国民健康保険への資格切り替え、補助金申請等の業務を担う。特に退職に伴う年金や保険の切り替えでは、手続きがもれることで不利益を被ることがないよう丁寧な窓口対応を心がけた。その後、保険代理店にてマーケティング業務に従事。保険料比較サイトの立ち上げに参加した。乗合保険会社の商品ページだけでなく、保険の知識を普及するためのページ作成にも参加。ニ種外務員資格(証券外務員ニ種)保有。小学校教諭一種免許、幼稚園教諭一種免許、特別支援学校一種免許取得。
はたらく世代のお金の診断・相談サービスを行うマネイロでは、「【計算例付】厚生年金保険料はどのように決まる?ケース別算出方法や受給額を解説」など、お金や年金制度にまつわる記事を発信中。京都府出身。(2024年9月4日更新)