トランプ政権のロシア疑惑で大きな調整が入った米国株式市場。しかし、トランプ大統領が外遊でアメリカを離れると、ロシア疑惑はなかったかのように株式市場は回復しました。一方、為替市場には株式市場のような回復力はありませんでした。
今週はトランプ大統領の帰国後、ロシア疑惑の攻防が再燃し、その影響が金融市場に波及するかに注目です。
先週の為替動向振り返り
先々週は、トランプ大統領のロシア疑惑で株価が下落するなど大きな変動がありました。先週はその流れを受けると思いきや、終わってみれば米国の株式市場はロシア疑惑発生前の水準を回復。S&P500、ナスダック指数に至っては最高値を更新しています。
一方、ロシア疑惑を機にドルインデックスがダウントレンド入りした為替市場は、先週は小動きの展開に留まりました。
そんな中、ドル円は111円を底にいったん反発し112円台を回復しましたが、その後再度下落。週初の値位置とほぼ同じ水準で先週の取引を終えました。
原油50ドル割れ、VIX指数は下落
50ドルの価格を維持していた原油価格(WTI)は、徐々に上昇したもののOPEC加盟国と非加盟国で原油減産維持の合意がなされると材料出尽くしとなり急落、50ドル割れとなりました。これまでのセオリー通り、原油価格は50ドル近辺が節目であるということが証明される展開でした。
また、恐怖指数と言われるVIX指数もロシア疑惑で急騰したものの、先週は一気にロシア疑惑が生じる前の水準付近にまでに下落しました。ロシア疑惑前、VIX指数は歴史的な低水準に沈んでいましたが、再びその水準に戻り先週の取引を終えています。
米国株式市場の状況およびVIX指数の状況からは、ロシア疑惑を機にリスクオフ状況になったと思われた金融市場ですが、そのまま素直にリスクオフには突入せず先週を終える形になっています。
今週の見通し
今週29日(月)は、イギリスおよびアメリカでは祝日であり、金融市場の実質的なスタートは30日(火)からとなります。また、今週のメインイベントである米雇用統計の発表は6月2日(金)に予定されているため、週半ばから値動きが生じる可能性が高いと考えられます。
先週は小動きとなった為替市場ですが、今週はドル円の111円割れが確実なものとなるかどうかに注目です。ロシア疑惑発生により114円から111円付近にまで下落したドル円ですが、111円付近を底にいったん反発。先週は112円台にまで回復しました。
しかしその後再度下落し、26日(金)夜には111円割れとなりました。ただし下落の勢いが続かなかったため、111円を割れたものの、早期に回復し111.25円で週の取引を終えています。
4時間足ベースではロシア疑惑発生以降に3回、111円の下ブレイクを試しており、チャート的には次回以降の下落で111円を割りやすい状況となっています。
まとめ
株式市場は回復しましたが、為替市場に限って言えばトランプ政権のロシア疑惑はいったん停止状態となっています。トランプ大統領が外遊から帰国した今週、再度ロシア疑惑が話題となり、先々週の流れが再開するのでしょうか。
株式市場が完全にロシア疑惑発生前の状態に戻っているので、為替市場も遅れてロシア疑惑発生前の状態に戻す可能性もあるので、注意が必要となります。まずは、ドル円市場で111円を巡る攻防が売り方の勝利で円高となるのか、それとも耐えて111円台を維持し、円安方向に進んでいくのかという点に注目したいと思います。
LIMO編集部