世の中には様々な職業がありますが、誰もが知っている職業の一つが「学校の先生」です。

しかし、教員の仕事はブラック職場と言われ、また何か問題があればメディアを通じて大々的に報じられることもあり、若い世代にはお世辞にも魅力的と映らない職になっています。

団塊世代の退職や少人数制クラス導入もあり、教職員採用枠は全国的に以前に比べて増えていますが、採用試験の倍率は年々低下しています。

文部科学省が2020年9月9日に発表した「令和4年度(令和3年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況について」によると、全体の採用倍率は3.7倍と、バブル経済で民間企業人気が高まっていた平成3年度と同率で過去最低を記録しました。

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出所:文部科学省「令和4年度(令和3年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況のポイント」

出所:文部科学省「令和4年度(令和3年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況のポイント」

バブル崩壊後は公務員人気が復活しましたが、現在の先行き不透明な経済状況の中でも、地方公務員でもある公立学校の教員を目指す若者が増加していないことを意味しています。

激務というイメージが強い教員ですが、やはり安定した公務員には変わりありません。割に合うかどうかはさておき、定年まで勤務した場合の年金はいくら貰えるのかみていきましょう。

残業代を含んでいる教員の給与

民間企業に比べると、経済状況に左右されず安定して給与が出る正規採用の教員ですが、日頃の業務で遅くまで仕事をしていても残業代が出ることはありません。残業代が出る業務は修学旅行や会議など厳密に法律で決められているからです。

とはいえ、年金を考える上で現役時代はどのくらいの月収を稼いでいるのか確認していきましょう。

2019年度に文部科学省が発表した「学校教員統計調査」による、公立小中高の教員の平均給与額は以下の通りです。

公立小学校

  • 平均 32万6600円
  • 男性 34万8500円
  • 女性 31万3000円

公立中学校

  • 平均 33万7700円
  • 男性 35万500円
  • 女性 32万600円

公立高等学校

  • 平均 35万8200円
  • 男性 36万7200円
  • 女性 33万9300円

男女に差があるのは、小中高全てで男性教員の方が平均勤務年数が長いため、給与額に影響していると考えられます。

そこに夏と冬の賞与、いわゆるボーナスが加わります。地方公務員の給与や賞与は国家公務員の給与や賞与を決めている人事院勧告が反映、参考にされています。

令和4年度の人事院勧告の特別給(ボーナス)は、年間支給4.40月です。つまり、一年間で支給される平均ボーナスは公立小学校の教員で143万7040円、公立中学校では153万3400円、公立高等学校では137万7200円ということになります。

公立学校の教員は、地方公務員のため自治体により給与額も異なり平均額との違いもありますが、概ね大企業並みのボーナスが支給されています。

公立学校の教員の気になる退職金や年金事情

定年退職まで勤め上げた場合の退職金は、総務省の「令和3年4月1日地方公務員給与実態調査結果」によると、平均2262万円となっています。

退職金に関しても大企業並みであり、やはり魅力的です。一方、年金に関しては2015年10月にそれまでの共済年金から民間企業と同じ厚生年金加入に制度が一元化されました。

公務員でもある公立校の教員の年金は基礎年金である「国民年金」の他に「厚生年金保険」そして2015年の一元化により新たに作られた「年金払い退職給付」の3本の柱で構成されています。

厚生年金保険は給与と賞与から保険料率を掛けて算出された保険料になります。保険料率は18.3%ですが、被保険者と雇用主の折半と決まっているため実質負担は9.15%になります。

そして、年金払い退職給付は公務員特有のものです。積み立て方式であり、別途保険料が発生することになり負担が増えました。

令和4年度の老齢基礎年金(国民年金)の月額支給は6万4816円であり、ここに老齢厚生年金(厚生年金保険)と年金払い退職給付が加わります。

厚生労働省のホームページで試験運用中の「公的年金シミュレーター」で「22歳から60歳まで公務員として働き現在の年収は600万円」という条件の場合、65歳から支給される年金は年額200万円でした。

つまり、月額約16万7000円が年金になります。人生100年時代においては、ゆとりある老後を送るには心もとない金額です。

左団扇で暮らすことを期待するのは無理がある

年金の支払い開始は原則65歳からです。60歳になる年度で退職した場合、再雇用や再就職をしない場合は65歳まで退職金で生活費を捻出することになります。60歳で退職してすぐに受け取ることも可能ですが、トータルの金額が減るため注意が必要です。

さらに、国家公務員の定年退職の見直しの影響で教員の定年退職改革も行われます。65歳定年制が2023年度から段階的に導入され、年金支給までのタイムラグが発生しにくくなります。

変革期にある教員の定年退職の時期ですが、長期的な視点から給料体制や退職金をみると、公務員の安定性が十分に伝わってきます。景気が好転しにくい中、働き方改革が進み労働環境が改善していけば、教員を目指す若い世代が増加する可能性を秘めています。

また、現役時代は浪費などの贅沢をせず教員として真面目に働いていれば経済面ではゆとりある生活を送ることができます。しかし、受け取る年金額を考えると退職した後は生活水準を同程度に維持することは難しいものがあります。

退職金を取り崩す生活は、先々のことを考えると簡単にできません。公務員は副業は禁じられていますが、 安定している職業である教員として働いていても、若いうちから株式投資や不動産投資の勉強をして資産運用をして老後に備えることも必要です。

参考資料

中山 まち子