NYダウは▲0.4%下落、ダウ輸送株は▲1.4%下落

2017年5月19日のNYダウ工業株30種平均(以下、NYダウ)は前週末比▲0.4%下落しました。NYダウ輸送株20種平均は▲1.4%下落しています。

決算を発表した銘柄に上昇銘柄はありましたが、相場全体はトランプ大統領とロシアの関係をめぐる「ロシアゲート」が今後の経済運営に影を落としたこと、さらに4月の住宅着工などの経済指標が弱めだったことで軟調に終わりました。

上昇率トップはウォルマート

NYダウ30銘柄のなかで、前週末比上昇率のトップ5社は次の通りです。

ウォルマート・ストアズ(WMT)+4%
ジョンソン&ジョンソン(JNJ)+4%
マクドナルド(MCD)+2%
キャタピラー(CAT)+2%
IBM(IBM)+1%

決算が発表され、EC事業の成長が確認されたウォルマートが上昇率1位となりました。マクドナルドとキャタピラーは続伸、IBMは反発しています。

下落率トップはシスコ

次に、前週末比下落率のトップ5社は次の通りです。

シスコ・システムズ(CSCO)▲7%
ナイキ(NKE)▲5%
ゴールドマン・サックス(GS)▲3%
JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー(JPM)▲3%
ウォルト・ディズニー(DIS)▲2%

下落率トップは、決算で軟調な売上トレンドが嫌気されたシスコ・システムズでした。続落になります。また、金利低下を嫌気して金融株2社が下落しています。

なお、アップルは▲2%下げ、このところの急騰後一服しています。

物色の広がりが出ているが、輸送株の下落は気になる

最近はアップルの上昇ばかりが目につきましたが、先週は上昇銘柄に広がりが出ており相場の持続性に安心感が出てきたように思われます。

しかし、その一方で気になるのが、NYダウ輸送株の年初来パフォーマンスが年初来▲1.8%下落になったことです。年初来+5.3%上昇し、高値で安定しているNYダウ工業株30種平均とは対照的な値動きです。

この2つの指数の値動きが収れんするかどうかは、どの期間を見るかによって推論が変わりますが、いずれにしても市場参加者は気にする傾向が強いと言えます。

過去3年間で見ると、2指数のパフォーマンスの差は最大に近いと言えますので、今後この開きが輸送株の上昇で解消されるのか、あるいは工業株の下落で解消されるのか、話題になりそうです。目配りをしておいて良いのではないでしょうか。

ちなみに5年で見ると工業株をアウトパフォームしてきた輸送株が、工業株のパフォーマンスに収れんしてきていると見えることも念のためご案内しておきます。

椎名 則夫