3. SDGs投資の市場規模

世界的にSDGsがトレンドとなり、積極的な活動や取り組みが増えている中、投資市場も大きな変化を見せています。

ここでは、市場規模の推移とその成長背景を見ていきましょう。

3.1 市場規模の推移

SDGsと関連性の深いESG投資のデータを参照すると分かる通り、SDGs投資の市場規模は世界的に年々拡大しています。

GSIA(Global Sustainable Investment Alliance)は、2020年の世界のESG投資額が35兆3,000億ドル(約3900兆円)であり、2018年に比べ15%拡大したと発表しました。

また、全運用資産の35.9%がサステナブルをテーマにしていることも明らかになっています。

ESG投資のメインは欧米であり、2020年段階でヨーロッパで12兆ドル、アメリカで17兆1,000億ドルでした。アメリカでは個人投資家の需要拡大を受け、資産運用会社がESG投資を推進したとされています。

また、欧米に比べ介入が遅れた日本は、2020年段階で2兆9,000億ドルにとどまるものの、2018年比で32%拡大しています。

3.2 SDGs投資市場が拡大している背景

SDGs投資市場が拡大傾向となったきっかけには、「国連責任投資原則(PRI)」の提唱があります。PRIとは、2006年に当時の国際連合事務総長であったコフィー・アナン氏が、金融業界や機関投資家に向けて提唱した新しい投資の原則です。

従来、株式市場における企業価値とは、キャッシュフローや貸借対照表・損益計算書で表わされる経営数値、財務情報が中心でした。

持続可能な社会を実現するためには、国や国際機関だけでなく、民間企業や資金を注入する投資家の協力が欠かせず、環境・社会・企業統治といった非財務価値を加えて企業を評価すべきだ、という考え方が土台となっています。

また、2008年のリーマンショックで打撃を受けた欧米企業は、社会や環境への取り組みを通じて信頼を取り戻そうとしたため、PRIの理念がさらに普及しました。

そして、目先の収益を重視する短期投資ではなく、将来的な成長を見越した中長期投資であるSDGs投資やESG投資が注目されるようになりました。