1. 年金を増やしたい人が知るべき「繰下げ受給」とは
公的年金には国民年金と厚生年金があり、どちらも65歳からの受給が原則となります。
しかし、受給開始を遅らせることで、受給額を増額できる制度があります。これが繰下げ受給制度です。
増額率は、1ヵ月遅らせるごとに0.7%。年金の月額が10万円の人であれば、1カ月遅らせるだけで10万700円、1年(12カ月)遅らせることで10万8400円になる計算です。
さらに、2022年4月からは最大で75歳まで行うことができるようになりました。
【0.7%×12カ月×10年=84%】となり、最大84%も増やすことができるのです。
日本年金機構によると、2022年度の標準的な夫婦※の年金額はおよそ22万円とされています。
※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
22万円という受給額が不安に思えた場合、仮に同い年の夫婦が75歳まで受給を遅らせば、単純計算で22万円が40万4800円になります。
物価上昇が進む日本で老後生活を考えたとき、年金額がここまであがるのは魅力に感じますね。
しかし、結局「あえて年金を増やさない」ことに決める夫婦も少なくありません。次は繰下げ受給のデメリットも見てみましょう。