4. 一般的な夫婦は年金をいくら受給しているのか

一人当たりの受給額を見てきましたが、夫婦2人であれば月平均は増えます。

令和4年度は一般的な夫婦について、受給額は以下のとおり公表されています。

出典:厚生労働省「令和4年度の年金額改定についてお知らせします」

こちらによると、厚生年金のモデル夫婦(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の令和4年度の受給額は、「21万9593円」です。

これは「サラリーマンの夫と専業主婦の妻」の組み合わせで、今のシニア世代の一般的なモデル夫婦とされています。

月約22万円と聞くと、生活できそうだという印象を持つ方も多いでしょう。特にローンの支払いが終わった持ち家世帯であれば、生活は難しくないと感じられます。

参考までに、総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)」によると、 65歳以上の夫婦のみの無職世帯の月の支出は26万3718円です。

〔内訳〕

  • 食料: 6万4444円
  • 住居: 1万3656円
  • 水道・光熱 :1万9267円
  • 家具・家事用品: 9405円
  • 被服及び履物 :6497円
  • 保健医療 :1万5512円
  • 交通・通信 :2万7576円
  • 教育:15円
  • 教養娯楽 :2万5077円
  • その他の消費支出:5万4028円
  • 非消費支出 :2万8240円

平均ベースでは月約4万円の赤字になってしまいますが、実際には収入に見合った生活をされることになるでしょう。

一方、統計にのっていない出費、例えば介護費用などには注意する必要があります。突発的かつ高額な支出は、老後の生活に重くのしかかります。

標準的な夫婦でも赤字になる可能性はあるため、誰にとっても老後の備えは必要です。早いうちから私的年金や貯蓄などで備えていってくださいね。

参考資料

太田 彩子