今日8月15日は年金の支給日です。2カ月に1度支給されるため、今回は2022年度の2回目の振込日となります。
現役世代の方は、年金と言われてもその受給額がピンと来ないのではないでしょうか。
厚生労働省年金局「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、厚生年金の全体の受給額は月平均約14万円です。
しかし、14万円といってもそこは平均であり、個人差が激しいもの。
そこで今回は、厚生年金の平均額や分布について深掘りしてみましょう。年金の実態を知ることで、マネープランを立てやすくなる効果があります。
【注目記事】【厚生年金と国民年金】税金や保険料が天引きされると手取りはいくらになるのか
1. 年金(国民年金・厚生年金)の基本のき
まずは公的年金制度をおさらいしてみましょう。日本の公的年金は1階部分の「国民年金」と2階部分の「厚生年金」との2階建て構造になっています。
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日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成
それぞれの加入対象は、働き方によって以下の通りにわかれます。
- 1階部分「国民年金」:日本に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務あり
- 2階部分「厚生年金」:公務員や会社員などが「国民年金」に上乗せして加入
国民年金は480月支払うことで、満額支給となります。未納月数分がマイナス調整されるため、加入月数が重要になるということですね。
一方で厚生年金は、収入に応じて納めた保険料により、将来の受給額が変わります。現役時代の収入が重要になるといえます。
以上のことから、国民年金にはそこまで受給差がないものの、厚生年金には激しい個人間格差があると予想できます。くわしく見ていきましょう。
2. 【厚生年金】平均額と1万円ごとの分布でわかる格差の実態
それでは厚生年金の平均受給額と受給人数について、厚生労働省年金局「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに確認しましょう。
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出所:厚生労働省年金局「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、LIMO編集部作成
- 1万円未満:10万511人
- 1万円以上~2万円未満:1万8955人
- 2万円以上~3万円未満:6万6662人
- 3万円以上~4万円未満:11万9711人
- 4万円以上~5万円未満:12万5655人
- 5万円以上~6万円未満:17万627人
- 6万円以上~7万円未満:40万1175人
- 7万円以上~8万円未満:69万4015人
- 8万円以上~9万円未満:93万4792人
- 9万円以上~10万円未満:112万5260人
- 10万円以上~11万円未満:111万9158人
- 11万円以上~12万円未満:101万8423人
- 12万円以上~13万円未満:92万6094人
- 13万円以上~14万円未満:89万7027人
- 14万円以上~15万円未満:91万3347人
- 15万円以上~16万円未満:94万5950人
- 16万円以上~17万円未満:99万4107人
- 17万円以上~18万円未満:102万4472人
- 18万円以上~19万円未満:99万4193人
- 19万円以上~20万円未満:91万6505人
- 20万円以上~21万円未満:78万1979人
- 21万円以上~22万円未満:60万7141人
- 22万円以上~23万円未満:42万5171人
- 23万円以上~24万円未満:28万9599人
- 24万円以上~25万円未満:19万4014人
- 25万円以上~26万円未満:12万3614人
- 26万円以上~27万円未満:7万6292人
- 27万円以上~28万円未満:4万5063人
- 28万円以上~29万円未満:2万2949人
- 29万円以上~30万円未満:1万951人
- 30万円以上~:1万6721人
※国民年金の金額も含む
2.1 【厚生年金】平均年金
全体:14万4366円
- 男性:平均年金月額16万4742円
- 女性:平均年金月額10万3808円
平均額はお伝えしているとおり、14万4366円です。
しかし、だからといって「ほとんどの人が約14万円受け取れる」とはいえません。男性平均が16万4742円、女性平均が10万3808円と、男女で6万円の差もありますね。
分布からボリュームゾーンを見れば、「9~12万円」「15~19万円」が多くなっています。これは男性と女性の平均額に連動しているでしょう。
キリよく月15万円で線引きをすると、男性で厚生年金を月に15万円以上受け取っている方は6割強、女性は約1割にとどまります。
だんだん格差の実態が浮き彫りになってきましたね。
3. 「厚生年金」なぜ受給額の格差が生まれるのか
厚生年金の受給額をみれば、1万円未満から30万円以上まで大きく差が開くことがわかりました。なぜそのような違いが出るのか、理由を3つ整理しましょう。
3.1 「受給額格差」の原因1. 給与による格差
厚生年金は収入に応じた保険料を納めます。納めた保険料によって受給額が決まるため、現役時代の給与に格差があれば、そのまま年金格差につながってしまうのです。
参考までに、日本年金機構の厚生年金保険料額表をみてみましょう。
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出典:日本年金機構「保険料額表(令和2年9月分~)(厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険)」
たとえば標準報酬月額が20万円の場合、保険料は1万8300円です。これが41万円になると、保険料は3万7515円にあがります。
支払った金額が多いだけ、将来の年金額も上がるので受給額の格差が生まれるというわけです。
3.2 「受給額格差」の原因2. 男女の働き方の違いによる格差
共働きが主流となりつつある現代、昔のように結婚や出産で退職する女性は減少傾向にあります。今のシニアでの男女格差は、今後は徐々に埋まっていくでしょう。
とはいえ、まだまだ女性のほうが育児や介護で専業主婦やパートといった働き方を選ぶ方が多いです。
厚生年金への加入月数も影響するため、その分女性の方が将来の受給額も少なくなります。
ギャップは埋まりつつありますが、格差はもうしばらく続くと予想されます。
3.3「受給額格差」の原因3. 世代による格差
年金保険料は毎月納めていますが、決して積み立てて将来受け取るわけではありません。
現役世代の納める保険料でそのときどきの年金が支払われる「世代間扶養」を基本としています。
そのため、少子高齢化が進めば支払った保険料に対し、受け取れる年金額が少なくなるでしょう。
ちなみに令和4年度の受給額は昨年度より0.4%下がっています。
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出典:日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」
ただし、年金は財源の範囲で給付費をまかなえるよう、年金額の価値を自動調整するマクロ経済スライドを導入しています。
公的年金が破綻することはありませんが、世代によって水準が異なることは意識しておきたいですね。
4. 年金額にも格差あり。老後対策はどうすれば
現役時代の給与に格差があるように、厚生年金にも格差があります。年収をあげれば将来の年金にも直結するため、スキルアップを図りたいところです。
また女性の場合は、パートで年収を抑えながら扶養内で勤務する方も多いです。2022年10月からはパートでも社会保険に加入する要件が緩和されるため、扶養を外れるか悩む方も多いでしょう。
引かれる保険料が発生する以上、額面以上に手取りが増えないことにはなりますが、将来の年金は手厚くなります。
現在の年収だけでなく、将来の年金額まで見据えた上で、働き方を考えてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(2021年12月)
- 日本年金機構「保険料額表(令和2年9月分~)(厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険)」
太田 彩子
