iDeCoでの資産形成を考え始めた方のなかには、マイホームを手に入れ、住宅ローンを返済中という方もいらっしゃるかと思います。住宅ローン控除を受けていて「住宅ローン控除を受けながらiDeCoでも所得控除を受けられるのだろうか?」と悩んでいる方もいらっしゃるようです。

結論から言うと、住宅ローン控除とiDeCoによる所得控除は別物なので、両方のメリットを享受することは可能です。ただし、もともと納めている税金が少ない場合や大きめの住宅ローンを組んでいる場合などには、住宅ローン控除のメリットを最大限に生かしきれない可能性があります。今回はこのケースをみていきます。

iDeCoの節税メリットと住宅ローン控除のメリットは両立する? 納税額が少ない人は注意!

税金の額は、収入金額から各種控除額を差し引いて求めた課税所得金額に所定の税率をかけて算出し、決定されます。

住宅ローン控除は、住宅ローン減税などともいわれますが、住宅ローンを利用してマイホームを購入したり新築したりした場合などに、年末時点のローン残高または住宅の取得対価のうちどちらか少ない方の金額の1%(年間最大40万円まで)が、10年間にわたり所得税から控除される制度です。

もし所得税から控除額を引ききれない場合は、翌年度の住民税からも一部控除されます(ただし住民税からの控除は最大13万6,500円)注1。このように、住宅ローン控除は納める税金の額から控除額が差し引かれる「税額控除」です。

注1 2014年4月~2021年12月に入居した場合
参考:国土交通省すまい給付金サイト「住宅ローン減税制度の概要」

ただ、もし住宅ローン控除額が納税額を超えてしまった場合、納税額以上にお金がもらえることはありませんので、減税の恩恵を最大限生かせないことになってしまいます。そして、こうしたケースは意外に多くあるのではないかと言われています。

たとえば、年収500万円の人(所得税を14万円、住民税を28万円とします)が3,000万円のローンを借り入れたとします。年末のローン残高が2,900万円だったとすると、その1%である29万円が住宅ローン控除の額となります。

ここで、所得税14万円から控除額29万円を差し引くと、15万円分が余ってしまいます。さらに住民税から差し引けるのは最大13万6,500円までなので、1万3,500円分は控除されません。つまり、住宅ローン控除のメリットを最大限生かせていないのです。配偶者控除や扶養控除などの各種控除で所得税が減れば、控除しきれない金額はさらに増えることになります。

ここでiDeCoを始めるとどうなるでしょうか。iDeCoの掛け金は全額所得控除の対象になり、課税所得金額を少なくできるので、納める所得税と住民税が減ります。節税効果が出ているということなのですが、住宅ローン減税の恩恵は小さくなってしまうというわけです。税メリットを最大限に生かしきるということだけを考えるならば、少し注意が必要です。

まとめ

いかがでしたか? もともと納めている税金が少ない人や大きめの住宅ローンを組んでいる人などであれば、iDeCoを始めることで税金が減り、結果として住宅ローン控除の恩恵を受けきれなくなる可能性が出てきます。

該当しそうだという方は、まずは住宅ローンの繰上返済を進める、あるいはiDeCoの掛け金を少なめにスタートし、住宅ローンの残高を見ながら徐々に掛け金を増やしていくといったことを検討してみてもよいでしょう。

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LIMO編集部