3. 退職金だけでは「安心」とはいえない?

ここまで見てきたように、全体の約2割の企業には退職金制度がなく、もし制度があったとしても、多くの退職金を手にするには「最終学歴」や「勤続年数」という障壁を乗り越える必要がありました。

しかしながら、このコロナ禍で「退職金制度がある会社に転職しよう」と、今すぐ行動に移せる方はそう多くはないでしょう。また、最終学歴や勤続年数も、簡単に変えられるものではありません。

2019年には「老後2000万円問題」も話題になりました。退職金に期待できない場合は、どのように老後準備と向き合っていけば良いのでしょうか?

「老後も可能な限り働き続ける」というのも、1つの方法ではありますが、ここで一度世界に目を向けてみましょう。

2020年に日本銀行調査統計局から発表された「資金循環の日米欧比較」によると、日本、米国、ユーロエリアの「家計の金融資産構成」は以下のようになっています。

現金・預金

  • 日本:54.2%
  • 米国:13.7%
  • ユーロエリア:34.9%

金融商品(債務証券・投資信託・株式等の合計)

  • 日本:14.4%
  • 米国:50.8%
  • ユーロエリア:27.9%

日本の場合、「現金・預金」が資産の半分以上を占めています。いわゆる「預貯金神話」がいまだ根強いことが考えられますね。

一方で、米国とユーロエリアでは、資産運用が一般家庭にまで広く浸透している様子がうかがえます。

近年は、日本でも「つみたてNISA」や「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」が広まりつつありますが、家計に資産運用を取り入れることは、老後の資金形成にもつながります。

老後について考える際には、ぜひ「お金に働いてもらう」という視点も、取り入れてみてはいかがでしょうか。