先週は、いったん地政学リスクの沈静化が見られましたが、北朝鮮問題に何ら変化はありません。そして、4月25日(火)の北朝鮮軍創建85周年に北朝鮮が核実験を行うか否かに世界の注目が集まっています。

25日が為替市場のみならず、金融市場の大きな節目となる可能性がある4月22日の週の為替市場を概観します。

先週の為替動向振り返り

先週は世界情勢自体に大きな変化はないものの、リスクの顕在化はなく、為替市場はいったん地政学リスクが落ち着いた形となりました。

ドル円市場は4月17日に直近安値の108.10円台を付けた後に上昇を開始。109円台半ばまで上昇し、21日は109.10円付近で取引を終え、週足では陽線を付けました。

また、イギリスのメイ首相が18日に突然、EU離脱交渉に向け6月に総選挙の前倒し実施を発表。大きなサプライズとなりポンドドル、ポンド円が大きく上昇しました。

ただし、その後は日曜のフランス大統領選に近付くにつれ、為替市場は徐々に値動きを狭めました。

原油価格とドルインデックスが値下がり

地政学リスクが表面的には落ち着きを見せたこともあり、原油価格が19日に米国のガソリン在庫の増加判明を契機に大きく下落。53ドル台から節目価格の50ドルを割れ、49ドル台にまで下落しました。

また、18日にドルの価値を表すドルインデックスが先週の安値を下ブレイクし、下落トレンド突入の動きを見せました。ただし、その後いったん戻した形になり先週を終えています。

ドル円は上昇しましたが、ドルインデックスは安値を更新し、ダウ理論的には下落トレンド継続となっています。ドルの相対的な強さを表すドルインデックスが弱い状態が継続しており、今後の動向にはまだ注意が必要だと言えます。

今週の為替動向見通し

先週半ばより、23日のフランス大統領選挙を見据え、為替市場は徐々に値動きが少なくなりました。

24日朝の段階では、無所属のマクロン氏と極右のルペン氏での決選投票が確実視されると伝えられています。決選投票では、主要政党が反ルペンで一致している現状では、波乱の可能性は低くなっていると見られます。

そして、25日は北朝鮮軍の創立85周年記念日であり、北朝鮮が核実験を強行すれば、地政学リスクが一気に高まる可能性が高くなっています。25日が今週の為替市場を含む金融市場の最大の山場と言えます。

トランプ政権による税制改革に向けた動きも先週末より開始されており、25日を何事もなく通過すれば、一気にドルが買われる展開もありえます。しかし、北朝鮮が核実験を強行すれば、地政学リスクの高まりとともに一気にドル売りの展開もありえます。

まとめ

先週は、いったん地政学リスクが沈静化した形とはなりましたが、北朝鮮問題を中心に実体には何も変化はありません。そして、今週25日に北朝鮮問題では最大の山場を迎えます。25日を境に相場状況が急変する可能性があるという点は十分認識すべきです。

地政学リスクの顕在化で為替市場はドル売り方向となるのか、それとも地政学リスクの沈静化そしてトランプ政権の減税の議論が注目されてドル買いの方向となるのか、25日を節目とする為替市場の行方には充分注意したいと思います。

LIMO編集部