日経平均株価は6週ぶりに上昇。地政学リスクも和らぐ

2017年4月21日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より190円26銭高の18,620円75銭となりました。日経平均はここしばらく下落が続いていましたが、6週ぶりに上昇に転じました。

背景にはいくつかの要因があります。まず、米国の政策への期待です。ムニューシン米財務長官は20日、近く大規模な税制改革草案を発表し、年内にも法案成立を目指すという考えを示しました。トランプ米政権の経済政策が実現に向けて動き出すという期待が高まったことから、同日の米株式相場が上昇。為替相場ではドルが買われ、1ドル=109円台前半まで、円安・ドル高となりました。これを受けて、21日の東京株式市場で日経平均も反発しました。

地政学リスクも和らいでいます。北朝鮮と米国の緊張は小康状態になり、ただちに軍事行動が起こるとは考えづらいところです。

今後の動きはどうなるでしょうか。直近で注目されるのは、フランス大統領選です。23日には第1回投票が行われます。現在の支持率トップは中道候補のマクロン氏で、極右候補のルペン氏、急進左派候補のメランション氏らが続きます。ルペン氏、メランション氏はいずれも「反EU」を掲げていることから、決選投票にこの2人が入れば、金融市場にとってリスクになりかねません。

このほか、18日には英国のメイ首相が突然、下院を解散し6月に総選挙を行うことを表明しました。EU離脱について議会が割れていることから、政権基盤を固め、離脱交渉を進める狙いがあると思われます。

来週の相場はまず、フランス大統領選の結果を受けた動きに注意したいところです。25日は北朝鮮の朝鮮人民軍創建85年記念日、26日~27日は日銀の金融政策決定会合が行われます。イベントが多く、なかなか判断が難しいところです。来週から企業の2017年3月期決算発表も本格化します。当面は、好業績銘柄の物色を狙いたいところです。

足元で形成されていた下降トレンドラインを上抜ける

今週の動きをテクニカル面から見てみましょう。大きなポイントは3月の中旬から5週間にわたり続いていた下落の流れが止まり、上昇に転じたことです。

ここ5週間は5日移動平均線に上値を抑えられる下降トレンドが形成されていました。今週19日に陽線でこの5日移動平均線を抜けると、20日には若干の陰線になりながらも5日移動平均線で下値がサポートされ、21日には窓を開けて上昇しました。

19,000円を超え、サポートされるようなら強気で

今後の動きはどうなるでしょうか。来週初はまず、21日に窓を空けた部分の窓埋めが起きるのかどうか注目したいところです。窓を埋め、5日移動平均を下回ったり、さらに4月17日の安値(18,224円)を再度割り込んだりすると、目線は下に戻ってしまいます。ただし、このあたりは押し目買いのチャンスでもあります。

足元の上値めどとしては、1月18日の安値(18,650円)となります。ここを上回り下値がサポートされるようであれば、目線は上に持っていいと思います。

ただし、このあたりは過去3カ月以上にわたりもみ合ったところです。18,800円前後はかなり積み上がっているところであり、抜けるためにはパワーが必要です。さらに目先の目標として意識されやすい19,000円を抜けられるかどうかに、今後の展開がかかってくるでしょう。このあたりを超えてくるようであれば強気になれます。

18,800円前後は25日移動平均線にも重なります。まずはここを抜けられるかどうかがポイントになります。

下原 一晃