経済学を学ぶことは論理的に考える訓練になる
筆者は大学で経済学を教えていましたし、経済学の教科書も書いています。それは、経済学を学ぶことが論理的に考える訓練になると考えているからです。
経済学は精緻な理論で組み立てられています。そのために無理な前提を置いているのですから、当然と言えば当然ですが。つまり、経済学を理解するためには、物事を論理的に考える必要があるのです。その点は、数学の公式と似ていると言えるでしょう。
大学で教えている他の教科も、経済学ほどではありませんが、論理的に考える訓練になりますから、他の学部を卒業した人も、大学で学んだ経験は決して無駄にはなっていないと思います。
もっとも、経済学部を卒業していても真面目に勉強していなかった人は、この限りではありません。それと、経済学は難解だから理解できなかったが、単位をとるために教科書を暗記した、という人も、この限りではありません。
問題は、大学の教員が経済学を教える時に、論理的な思考訓練をやっているのか結論だけを伝えているのか、という事です。あるいは、教員は思考訓練をやっているつもりでも、学生のレベルと比べて難解すぎて、結局学生は結論だけを丸暗記して期末試験に臨んでいる、という場合もありそうですが。