研究対象にもなっているキラキラネーム

インターネット上では「キラキラネームだと就職活動に不利」「名前と成績の関係性」などを指摘する声も散見しますし、キラキラネーム当事者の悩みも検索すればすぐに見つけられます。

もちろん、噂の域を超えないものもありますが、実は「特徴的な名前のある子」というのは大学といった研究機関での調査対象にもなっていることはあまり知られていません。

東京理科大学の荻原祐二助教授が2021年に発表した「近年の新生児の名前を初見で正しく読むことは難しい~18種類の「大翔」、14種類の「結愛」~」では、2004年から2018年に生まれた新生児の名前を対象にその傾向を調査、分析しています。

「名前に使用できる漢字の読みに制限がなく、漢字の一般的な読みや名のりに加えて、自由に読みを与えられる点が挙げられます。これは、日本と同じように名前に漢字を用いている一方で、ほとんどの漢字が決まった読み方をする中国とは異なります」

とあるように、日本での漢字の読み方も学校では「このように読む」と教えられますが、名づけ方に関してはその考えが崩れています。例えば「騎士」で「ナイト」と名前をつけるほど、漢字に対するルールが寛容的な空気が漂っています。

また、一括りに「特徴的な名前」と言っても、やはり程度はさまざまです。通常の読みとは違うけれど浸透している名前もあれば、漢字の意味を英語の読みにしていたり、完全に当て字で読み方を聞かない限り判読不可能な名前もあります。

研究の中でピックアップしている「大翔」では18種類、「結愛」は14種類もの読み方に分類されていると指摘しています。全く同じ漢字であっても多様な読み方ができる時代になっています。

このように言語学的な視点に立つと、「名前と漢字」というのは興味深いテーマです。そして、多くの人が関心を寄せるもはや都市伝説化している就職や成績との関連性が調査される日もくるかもしれません。