2022年5月27日に行われた、サークレイス株式会社2022年3月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:サークレイス株式会社 代表取締役社長 佐藤潤 氏

東証グロース市場・IPO

佐藤潤氏:サークレイス株式会社代表取締役社長の佐藤潤でございます。2022年3月期の決算についてご報告させていただきます。

決算報告の前に、当社の上場についてご報告します。当社は2022年4月12日、東京証券取引所グロース市場に新規上場しました。これもひとえに、お客さま、お取引先さま、株主さまをはじめとする、みなさま方のご支援の賜物と心より感謝申し上げます。

今後も着実に成長し、堅実に経営してまいりますので、中長期の視点でのご支援いただきたいと願っています。今後ともよろしくお願いいたします。

当社事業の全体像

それでは、決算説明に移ります。最初に当社のビジネスモデルや事業内容について簡単にご説明し、その後に決算結果をご報告します。

まず、当社事業の全体像です。当社はコンサルティングサービスとプラットフォームサービスという2つのサービス群に分けて事業を展開しています。コンサルティングサービスについては、言葉のとおりコンサルティングサービス、そしてシステム開発等、準委任型のサービスで、増員や単価の向上によって成長するモデルです。

一方、プラットフォームサービスは、当社自身が進めているDXの中心事業で、お客さまの増加によってビジネスを拡大するモデルです。カスタマーサクセスやエデュケーション、そして、DXの成果物であるSaaSの製品販売などの事業が入っています。

収益構成

売上構成についてご説明します。コンサルティングサービスの売上高構成比は62パーセント、プラットフォームサービスは38パーセントで、その多くがカスタマーサクセスとなっていますが、エデュケーション、DX、SaaS販売についても着実に成長しています。

コンサルティング、システム開発とカスタマーサクセスの一気通貫サービス

当社のサービスは、すべて一気通貫でお客さまに提供するということが非常に強みとなっています。コンサルティングサービスとプラットフォームサービスにおいて、SaaSでも販売している「Circlace」という、まったく同じプラットフォームを我々も事業で使っています。

Circlace プラットフォームとは

「Circlace」を使うことにより、お客さまの接点がすべてデジタル化され、すべての事業において情報共有や活用できるようになっています。これによってお客さまの「今」がわかり、適切なサービスの提案ができるようになっていることが強みです。

2022年3月期決算ハイライト

2022年3月期の決算概況についてご報告します。まず決算ハイライトとして、売上高は22億6,600万円、前年比で25パーセントの成長を達成することができました。営業利益は1億5,000万円で、昨年度の赤字からしっかりと黒字転換することができました。当期純利益は1億7,500万円で最終的に着地しています。

期末の従業員数は233名で、前年比でプラス22名と成長しています。

損益計算書サマリー

損益計算書について、簡単にサマリーをご報告します。コンサルティングサービス、プラットフォームサービスともに大幅増収で、全体の売上高は前年比25パーセントの増収を達成しています。営業利益は前年度の赤字から黒字転換し、計画値を約8パーセント超過するかたちで終わることができました。

1点補足として、2022年3月期の業績予想と実績値にかなり差異が出ていますが、これは繰延税金資産の追加計上により、当期純利益が32.2パーセント上振れて着地したためです。

成長性

成長性についてご報告します。売上高は、2018年3月期から2022年3月期までに、年平均で14.9パーセントの成長を達成しています。2021年3月期から2022年3月期については、25パーセント成長で飛躍することができました。

2020年3月期と2021年3月期は、DX投資期間ということで先行投資による戦略的な赤字の期間でしたが、そこでしっかりとDXを推進した結果、着実に成長できました。

四半期売上高について、直近の第4四半期は前年比33パーセント以上の成長ができており、これもDXによる成果です。

収益性

収益性について補足します。DXの成果が着実に出ているところをご覧いただきたいのですが、売上総利益率(グロスマージン)は、2021年3月期の第3四半期以降、50パーセントを超える状態を継続しています。

スライド左の折れ線グラフでは少々下がる時期があるように見えますが、第4四半期は毎年稼働日が少ないということもあり、若干の季節性があります。しかし、それでもしっかりと50パーセント以上の売上総利益率を達成することができています。

営業利益について、DX投資のうち大きなものはすべて終わっていますが、継続的にDXを推進するための投資を行っており、そちらを差し引くと、既存の全事業でしっかりと利益が出ています。

コンサルティングサービス

サービス別の決算概況について、まずはコンサルティングサービスです。当社の主力の「Salesforce」関連のコンサルティングサービスについて、2021年3月期はコロナ禍で一時的な減収もありましたが、しっかりと回復し、それ以上の成長軌道に乗せることができています。

また、マルチクラウド対応では、SaaSにおいて「Anaplan」「Tableau」といった新たなプロダクトサービス、プラットフォームでは「AWS」「Google Cloud Platform」への対応等を進めることにより、成長を拡大することができています。

プラットフォームサービス

プラットフォームサービスについて、決算の概況をご報告します。こちらはカスタマーサクセス、エデュケーション、DXのすべてで増収となりました。

カスタマーサクセスについてはしっかりと人員を増強することができており、それによる売上増とDXによるお客さまの増加、さらには単価の向上というすべてを達成することができ、ビジネスは非常に順調に拡大しています。

エデュケーションサービスについても、コロナ禍において対面の集合型研修がすべてキャンセルになったところからリモートサービス、リモート開催に切り替え、昨年度はしっかりと成長軌道に戻すことができています。

貸借対照表

貸借対照表について簡単に補足すると、純利益の増加により純資産を増加させることができた1年でした。

2023年3月期 業績予想

2023年3月期の業績見通しと直近のトピックスについてご報告します。まず、通期計画として、売上高は27億8,300万円、当期利益は2億2,000万円を計画しています。増減率は、2022年3月期の通期実績と比較すると、売上高が22.8パーセント増、当期利益が25.3パーセント増を見込んでいます。

①受賞・認定関連

直近のトピックスとして、「Salesforce」関連の事業で、当社のエデュケーションサービスが高い評価をいただき、個別のトレーナーに贈られる賞を受賞しました。「Anaplan」の事業に関しても、Anaplan社から運用支援における貢献を高く評価いただいています。

また昨年度は「Anaplan Partner of the Year」において、「Japan Support Partner of the Year FY21」という大変立派な賞を受賞しました。さらに、当社が進めてきたDXへの取り組みも認めていただき、経済産業省が選定する「DX認定制度」の認定事業者に選ばれました。

②スポンサー契約締結(2022年5月2日リリース)

当社は、上場を機に社会貢献をより一層進めていきたいと考えています。その第1弾に、日本のスポーツ振興の一環として、プロゴルファーの渡邉彩香さんとスポンサー契約を締結しました。渡邉彩香プロは今年プロ生活10年目ですが、当社も設立10年というご縁もあったため今回のスポンサー契約に至りました。

サステナビリティへの取り組み

サステナビリティへの取り組みについてご報告します。まだまだできていることは非常に限定的ではありますが、当社は設立当初より、ジェンダーや国籍等にかかわらず、平等に社員を評価してきました。

その結果、現在、女性の管理職比率は36パーセントと、平均よりも高い数値になっています。これを早期に50パーセントあるいはそれ以上になるように、すべての人が活躍できる組織を作っていきたいと考えています。

クラウド市場とコンサルティング市場

決算報告は以上となりますが、成長戦略について簡単に補足します。当社はシステム開発、クラウド関連がビジネスの中心ですが、その市場は今後も大きく拡大していくとの予測がさまざま出ています。MM総研によると、国内パブリッククラウド市場は2025年度に約3.1兆円規模にまで大幅に拡大すると予測されています。

また、デジタル関連コンサルティングサービスについても、2025年度までに1.3兆円規模に成長するという予測が出ています。どちらも20パーセント以上の高い成長率となっており、当社も20パーセント以上の成長を続けていくために、現在さまざまな計画を推進しています。

Salesforce プラットフォーム関連日本市場規模

「Salesforce」については、事業も国内で着実に拡大していると実感していますし、セールスフォース・ジャパン社の予測でも、市場規模は今後ますます拡大すると予測されています。

企業のDX化に係る環境

日本企業のDX化はまだまだ進んでおらず、これからDXに取り組むという企業が多くあります。そのため、DX関連のサービスのマーケットは拡大していますが、一方で、IT人材不足が非常に問題となっています。

当社ではIT人材不足もビジネスチャンスと捉えており、高度IT人材の教育事業あるいはリカンレント教育事業において、我々のノウハウを活かしたサービスを新規事業として提供していきたいと考えています。

当社の事業ポートフォリオと成長戦略

当社の事業ポートフォリオに対する考え方について補足します。まずスライド右上から、基盤事業であるコンサルティングサービスを中心に既存事業を再構築し、次の成長戦略につなげていきます。現在の当社のビジネスでは、カスタマーサクセス事業をDX化することで次の基盤事業に育てていくことが、こちらに当たります。

さらに次世代投資として、人材育成事業、AIやデータレイクといった次世代のテクノロジーを使ったビジネスを立ち上げる準備をしています。

最後に、成長を目指す事業として、SaaS事業に対してしっかりと投資を継続しています。今後の基盤に育てていくようなサイクルで事業を推進し、各事業のKPI等を日々チェックしつつ、投資あるいは人材採用を行っています。

カスタマーサクセスサービスのデジタル化を推進

事業ポートフォリオと成長戦略の具体的な例として、カスタマーサクセスサービスのビジネスの再構築についてご紹介します。カスタマーサクセスサービスは、元々人材派遣としてスタートした事業で、「人を増やして派遣先を増やす」という、いわゆる労働集約的なビジネスでした。

こちらをデジタル化することで、サービスプラットフォームを自社で構築し、サービスを提供するモデルに転換しています。これにより、人材派遣ではなく、多くのお客さまに対して、チームでより高付加価値なサービスを提供するモデルが可能となります。

DX事業の拡大

DX推進に伴い誕生したサービスプラットフォームがいくつかあります。特に、社名と同じプラットフォーム名である「Circlace」の販売を今期より本格的に推進していきます。我々もこちらのサービスを使っているため、その効果をお客さまに直接提供することができます。

そして、ご利用されたお客さまからのさまざまなフィードバックを、サービスに反映させることで、お客さまと当社がお互いに成長できるようなモデルになっています。

もう1つの「AGAVE」は、海外駐在向けの情報管理サービスで、主要なパートナーと提携することにより、日本の大企業、グローバルカンパニーに多く採用されています。今後BPOパートナーとサービスの幅を広げていくために、より一層のビジネスの推進を図っているところです。

当社の目指す姿

最後に、当社の目指す姿についてお話しします。当社は、労働集約型サービスのシステム開発、コンサルティング、派遣事業を生業としています。現在はそれらのDX化を推進し、「Circlace」の情報基盤を通じてお客さまとつながり、データを活用した次のサービス開発ができるようになっています。

今後はこの取り組みをより一層推進することで、将来的に「サーキュラーエコノミー(循環経済)」や「Society 5.0」のような、大きな社会インフラやデジタルプラットフォームの構築に携わる企業に成長していきたいと考えています。

以上をもちまして、サークレイス株式会社2022年3月期決算報告を終了させていただきます。ありがとうございました。

記事提供: