現役時代から引退となり、のんびり生活をしている人が多い、65歳以上の世代。

時間的な余裕も生まれ、現役時代のうちにはできなかったさまざまな趣味・旅行などを楽しもうしている人もいるでしょう。

しかし、定年後に給料が減ったりなくなったりしたことで、老後の生活に不安を抱えている人もいるでしょう。そこで今回は、定年後65歳以上の貯蓄のリアルを解説します。

【定年後65歳】「貯蓄」の定義とは

そもそも、貯蓄とはどういう意味でしょうか。意外にその定義を説明するのは難しいものです。

そこで、総務省の家計調査報告(貯蓄・負債編)の用語の解説から、貯蓄の定義を見てみましょう。

ゆうちょ銀行,郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構,銀行及びその他の金融 機関(普通銀行等)への預貯金,生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総 額)並びに株式,債券,投資信託,金銭信託等の有価証券(株式及び投資信託については調査時点の 時価,債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と,社内預金,勤め 先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいう。

なお,貯蓄は世帯全体の貯蓄であり,また,個人営業世帯などの貯蓄には家計用のほか事業用も含める。

すなわち、貯蓄には「預貯金以外の金融資産」も該当するのです。

では、65歳以上の「シニア世代」の貯蓄の実態をみていきましょう。

65歳以上の貯蓄平均2376万円「中央値」は1588万円

さきほどは貯蓄内容と平均額に触れましたが、「どのくらいの額」を「どのくらいの人が持っているのか」の割合分布を見ていきたいと思います。

二人以上の世帯のうち、世帯主が65歳以上の世帯における、貯蓄額の分布は以下の通りです。

出典:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」「Ⅲ 世帯属性別にみた貯蓄・負債の状況」

  • 4000万円以上・・・17.7%
  • 3000万~4000万円・・・9.2%
  • 2500万~3000万円・・・6.4%
  • 2000万~2500万円・・・8.0%⇐平均貯蓄額(2376万円)
  • 1800万~2000万円・・・2.9%
  • 1600万~1800万円・・・3.8%
  • 1400万~1600万円・・・4.4%⇐貯蓄保有世帯の中央値(1588万円)
  • 1200万~1400万円・・・5.0%
  • 1000万~1200万円・・・5.3%
  • 900万~1000万円・・・2.9%
  • 800万~900万円・・・3.5%
  • 700万~800万円・・・3.1%
  • 600万~700万円・・・2.9%
  • 500万~600万円・・・3.5%
  • 400万~500万円・・・2.8%
  • 300万~400万円・・・3.6%
  • 200万~300万円・・・3.2%
  • 100万~200万円・・・3.3%
  • 100万円未満・・・8.3%

なお、貯蓄保有世帯の中央値は1588万円、平均値は2376万円です。

「定年後には、貯蓄額が減っていくのでは」と思いきや、まとまった金額を貯蓄できているように見えます。

ただし、平均額は一部の富裕層などによって釣り上げられます。平均値だけ見ると相当額になりますが、個々人によってかなりばらつきがあるのが実態です。

たとえば、貯蓄4000万円以上の世帯が17.7%ある一方で、100万円未満の世帯も8.3%もあります。

【解説】中央値とは

「貯蓄保有世帯の中央値」は「貯蓄ゼロ世帯以外の世帯」を貯蓄現在高の低い方から順番に並べ、ちょうど中央にある世帯の貯蓄現在高のこと。平均値は極端に高い数字の影響を受けやすいため、「中央値」を目安に捉えるといいでしょう。