ハリセンで叩かれると願いが叶う!? 元お笑い芸人のマネー本

ハリセンFP。それが著者である篠原充彦氏の異名である。篠原氏が講演の際に使うハリセンで叩かれると願いが叶うという噂が広まり、講演後にハリセン祈願の行列ができることに由来するようだ。

なんだかアントニオ猪木氏の気合に少し似たものを感じなくもないが、実際に篠原氏が行う講演やマネーセミナーは年間150回以上といい、人気のほどがうかがえる。

本書は元お笑い芸人である篠原氏がそのトーク力をフルに生かし、わかりやすく面白くお金の話を伝えようと試みた一冊だ。まるでトークライブ会場にいるかのような臨場感で、青年と先生の掛け合いが始まり、その後、各章のテーマが解説される。

わかりやすく表現されているとはいえ、決して内容が薄いわけではない。サラリーマンや主婦など、いわゆる「普通の人」なら誰でも経験するような貯金や節約の落とし穴から、損にならない使い方、老後に向けての増やし方、今話題のiDeCoまでが網羅されている。

「仕組みづくり」の大切さ、「何もしないこと」のリスク

全編を通じて軸となるのは、お金を増やすための「仕組みづくり」や「習慣化」がいかに大切か、ということだ。どのアドバイスも、決して複雑だったり難易度が高いものではなく、日常生活の中で無理なく取り入れられるものばかりである。逆に、自分で難しくしすぎて余計にわからなくなっている部分さえあるのではないかと感じられてくる。

こうした仕組みづくりや習慣は実践することで知識になるだけでなく、時間を味方にすることもできると篠原氏は本書で指摘する。何もしないまま、ただ時間だけが過ぎていけば、年を重ねても知識は身につかず、お金は増えない。最悪、いざというときに何も残っていないということになりかねないということだろう。

本書は、お金について調べたり聞いたりすることをなんとなくためらってしまう人や、人から言われるがままに保険や金融商品を買ってきた人、何から手を付けていいかわからないマネー初心者に読んでいただきたい。社会人としての第一歩を踏み出したばかりの新入社員にもおすすめだ。

今は春真っ盛り。ちょっと新しい世界をのぞいてみるのも悪くない。さらに笑えるなら言うことなし。そんな気持ちで気軽に読み始めれば、今まで見えていたものとは違う、ワクワクするお金の世界が待ち受けているかもしれない。

元お笑い芸人ファイナンシャルプランナーが教える! 世界一笑えてわかりやすいお金の増やし方

著者:篠原充彦
出版社:イースト・プレス
単行本、 224ページ

LIMO編集部