テスラの販売好調、日本のEV関連銘柄は?

2017年4月3日の米国市場では、EV(電気自動車)メーカーのテスラの株価が前日比+7%上昇となり、時価総額がフォードを上回ったことが話題になりました。

株価急伸の理由は、前日の2日に同社が発表した2017年1-3月期の出荷台数が前年同期比+69%増の2万5,000台超と、アナリスト予想を上回ったためです。また、地球温暖化問題に対してあまり積極的ではないトランプ政権のもとで健闘が確認されたこともポジティブサプライズをもたらした一因と推察されます。

一方、日本では2016年時点でのEVの保有台数は約6万台に留まり、HEV(ハイブリット車)とPHEV(プラグインハイブリット車)合計の約550万台に比べると大きな開きが見られます(いずれも乗用車のみ)。

それもあってか、最近ではEVに対する注目度は停滞気味ですが、今回のテスラのニュースを契機に改めて関連銘柄について考えてみたいと思います。

EVというとまず思い浮かぶのは、テスラに電池を供給するパナソニック(6752)です。また、EV用モータを手掛ける日本電産(6594)も関連銘柄としてしばしば取り上げられます。

また、少しニッチな市場ですが、EVの普及には欠かせない急速充電器も興味深い分野だと思います。ちなみに、先週、電気自動車の急速充電規格の普及団体であるCHAdeMO(チャデモ)協議会が、EV用電池の大容量化に対応して7年ぶりに標準仕様書を大幅改定するというニュースが報じられています。

そこで、もう少し急速充電器関連について見てみましょう。

海外でも普及が進む日本発の規格「CHAdeMO(チャデモ)」

「CHAdeMO」は、電気自動車の急速充電の方式を策定する団体の名称ですが、同協議会のパンフレットによると、そこには「CHArge de MOve = 動く、進むためのチャージ」と「クルマの充電中にお茶でもどうですか」 という意味が込められているそうです。

日本発の標準技術規格でありながら海外でも普及が進んでおり、2017年3月現在で56カ国に約1万3,900基の急速充電器の設置実績があります。

また、2010年から2016年までのCHAdeMO準拠の累計出荷台数の世界シェアは(中国を除く、乗用車のみ)、EVでは32%、PHEVでは21%といずれもトップのポジションにあります。

ちなみに、テスラに対してもアダプター経由で充電を行うことが可能ですので、それを含めるとEVでのシェアは51%に達することになります。

CHAdeMOの新規格はどこが変わるのか

今回の7年ぶりの改定では、電池の大容量化に対応して、これまでの3倍にあたる最大出力150キロワットの急速充電が可能になります。

このため、電池容量が同じであれば、充電時間は従来の約3分の1に短縮することができます。なお、各種報道によると製品化は年内の見通しです。

急速充電器の関連銘柄は?

新規格の導入が進んでいけば、これまでに普及した旧機種からの置き換えが進むことが期待されます。このため、既に実績のある東光高岳(6617)、シンフォニアテクノロジー(6507)、ニチコン(6996)、新電元工業(6844)などが注目できると思います。

加えて、急速充電器のキーデバイスであるパワー半導体を製造する三菱電機(6503)や富士電機(6504)にも注目したいところです。

和泉 美治