トランプ政権の不透明感から米株、日本株ともに下落
2017年3月31日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より153円96銭安の18,909円26銭となりました。終値が心理的な節目である19,000円を下回りました。19,000円を下回ったのは2月9日以来です。
背景には、米トランプ政権の政策への先行き不透明感と、それにともなう円高・ドル安があります。24日には、トランプ大統領が公約に掲げていた医療保険制度改革法(オバマケア)の代替法案の採決が見送られ、法案は事実上撤回されました。
外国為替市場ではドルが売られ、27日には円相場が1ドル=110円台前半まで円高・ドル安が進みました。日本株では、企業の輸出採算が悪化すると懸念され、幅広く売られる展開となりました。
週末にかけても、トランプ政権への期待は戻りませんでした。31日の米ダウ工業株30種平均は反落し、前日比65ドル27セント安の20,663ドル22セントで終えました。月間では11月の米大統領選以降で初めて、5か月ぶりに下落しました。
為替は、1ドル=111円35~45銭で取引を終えています。27日に比べれば円安ですが、依然としてドルが弱含んでいます。
今後の展開はどうなるでしょうか。新年度を迎え、いわゆる「4月相場」への期待はあります。4月は1年の中で株価が上昇しやすい月です。
ただし、トランプ政権のかじ取りに対しては依然として警戒感はあります。また、国内では「森友問題」も長期化しそうです。ただし、そのわりに、日本株に下支えの動きも感じられます。3月期末の権利付き最終売買日を通過した29日の相場も堅調でした。
来週は、国内では、3日に3月日銀短観、7日に2月景気動向指数、米国では3日にISM製造業景況指数、7日に3月雇用統計などの発表があります。6日~7日には、米中の初の首脳会談も行われます。上下どちらの動きにも対応できるよう備えたいところです。
75日移動平均線を下抜け上値を抑えられる
今週の動きをテクニカル面から見てみましょう。先週末の24日にはいったん75日移動平均線を回復したものの、27日には大きく窓を開けて下落し、再び75日移動平均線を割りました。
週内には75日移動平均線を上回ることができず、31日にはさらに大きな陰線となって下落しました。
75日移動平均線を回復することができなければ目線は下へ
今後の動きはどうなるでしょうか。懸念されるのは、75日移動平均線を下抜けた後、27日~30日にかけて、3日間回復をトライしているにもかかわらず、いずれも上値を抑えられていることです。
31日には、直近の安値だった3月27日の安値(18,932円)も割り込みました。これにより、チャートの形としては、短期的には下降トレンドが形成されました。セオリーとしては、75日移動平均線あたりでの戻り売りを狙っていくことになります。
ただし、現状は、昨年末以来、3か月以上にわたり上下幅1,000円前後のレンジでもみ合っている状態です。レンジの下限は1月18日の安値(18,650円)で、このあたりまで下がると再度買われる可能性もあります。大きなトレンドの判断は、上は19,600円、下は18,600円を抜けてからということになりそうです。
もみ合いが続くことで、25日移動平均線が75日移動平均線に近づいています。25日移動平均線が75日移動平均線を下抜けるデッドクロスが形成されると、目線は下になります。その点で、来週初に、陽線、陰線のどちらで引けるかが重要になります。
下原 一晃