4. 実際に繰下げ受給をする人は多いのか
計算上では、必ずしもオトクになるとは言えない繰上げ受給。しかし年金額を上乗せする方法としては他にないアップ術になります。
実際に選択する人はどれくらいいるのでしょうか。
厚生労働省の「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金を繰り下げる人は1.0%、国民年金を繰り下げる人は1.6%に留まりました。
反対に年金を65歳よりも早くに受け取る「繰上げ受給」を選択する人は、厚生年金で0.5%、国民年金で11.7%です。
繰上げ受給の場合は早くに年金が受給できるものの、その受給額は1ヵ月あたり0.4%ずつ減額されてしまいます。
どちらも少数派であることがわかりますね。
5. おわりに
年金を上乗せする術として「繰下げ年金」をご紹介しました。制度が普及していない背景には
- 繰下げ受給のメリットが知られていない
- 受給開始までの資産を持っていない
などが考えられます。受給まで無収入になるのは、シニアにとって避けたいことです。「いい制度があればそれを活用できるくらいの資産を持っておく」というのが、理想的な老後生活なのかもしれません。
年金を増やす方法を調べるとともに、老後資金をしっかり貯める努力も行っていきたいですね。
参考資料
太田 彩子