厚生年金は老齢年金以外の機能も
年金というと「老後に受給できる」というイメージがありますが、これは老齢年金のことです。
年金には他に「遺族年金」と「障害年金」という保障機能もあります。厚生年金にもそれぞれの保障機能があるため、くわしく見ていきましょう。
障害厚生年金
日本年金機構によると、以下の条件をすべて満たす場合に「障害厚生年金」を受給することができます。
- 厚生年金保険の被保険者である間に、障害の原因となった病気やけがの初診日があること。
- 障害の状態が、障害認定日に、障害等級表に定める1級から3級のいずれかに該当していること。ただし、障害認定日に障害の状態が軽くても、その後重くなったときは、障害厚生年金を受け取ることができる場合があります。
- 初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること。
ただし初診日が令和8年4月1日前にあるときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。
働き盛りのときに障害状態に該当すると、仕事を続けられない可能性があります。そのようなときに生活を支えてくれるのが「障害厚生年金」なのです。
遺族厚生年金
遺族厚生年金とは、生計を維持する人が亡くなったときに遺族の生活を保障する年金のことです。受給要件は次のとおり。
- 厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
- 厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
- 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡したとき
- 老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき
- 老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき
受給要件や対象者は複雑ですが、万が一のときに遺族の生活を保障する大切な年金なのです。
まとめにかえて
厚生年金についてまとめてきました。
毎月保険料を納め、やがては受給することになる年金。しかしその内容について、あまり知らなかったという方も多いのではないでしょうか。
公的制度は複雑に思えますが、知っておいて損はありません。生活にかかわる大切な制度だからこそ、しっかり知識を身につけておきましょう。
参考資料
- 日本年金機構「令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)」
- 厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「障害厚生年金」
- 日本年金機構「遺族厚生年金」
- 国家公務員共済組合連合会「公的年金制度のあらまし
太田 彩子