2. 「年金の時効」という悲劇

年金には時効があり、これを過ぎると権利が消滅してしまいます。

日本の年金制度は二階建て。国民年金には日本に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務があり、国民年金に加入していた方は「老齢基礎年金」を受け取ることができます。

厚生年金には公務員や会社員などが上乗せで加入するため、その分受け取る年金も「老齢基礎年金+老齢厚生年金」と手厚くなっています。

もし時効を迎えてしまえば、これらの年金を受給できなくなるのです。

きちんと請求するまでは、あくまでも「年金を受ける権利(基本権)があるだけ」という状態に。

この年金を受ける権利(基本権)は、権利が発生してから5年を経過したとき時効により消滅する」と定められています。(国民年金法第102条第1項・厚生年金保険法第92条第1項)

さすがに大切な年金を請求し忘れることは稀ですが、特に請求漏れが発生しやすいポイントをご紹介します。

2.1 繰下げ受給をするときは「請求漏れ」に注意

年金は65歳からの受給が原則ですが、国民年金も厚生年金も最大75歳まで繰下げ受給をすることができます。

受給開始を遅らせることで受給額が割増になるため、年金が少ない方や定年後も働く方にとっては魅力的な制度です。

しかし繰下げ受給を選択する場合、「年金の時効」という落とし穴に注意が必要なのです。

もし国民年金も厚生年金も同時に繰り下げることを決めたのであれば、「老齢基礎年金の権利発生(原則65歳)から1年経過した日より後」に「老齢基礎年金・老齢厚生年金支給繰下げ請求書」という書類を提出しなければなりません。

66歳で「1年経ったから繰下げ請求書を出そう」ということを忘れてしまうと、うっかり年金の請求書未提出のまま時効を迎えてしまうのです。

仮に70歳で年金受給開始を希望する年金請求書を提出すると、実は申請ができていなかったとに気づくことに。

こうした悲劇を防ぐためにも、自己管理は必須なのです。