例年3月末はIPOが集中します。今年は今週と再来週に例年通りIPOラッシュの時期を迎えますが、それを前にした3月第3週には「ほぼ日」など3社が新規上場しました。本稿では3月第3週のIPO状況について概観します。

3月第3週のIPOは3社

3月第3週は下記3社がIPOしました。

3月15日 株式会社ファイズ(9325)マザーズ
3月16日 株式会社うるる(3979)マザーズ
3月16日 株式会社ほぼ日(3560)ジャスダック

出所:日本取引所グループ「新規上場会社情報

糸井重里氏の「ほぼ日」が上場

3月第3週のIPOで最も注目を浴びたのは、株式会社ほぼ日です。著名コピーライターの糸井重里氏が設立した同社は、「ほぼ日手帳」という手帳が売上の約7割を占めています。

2016年8月期の売上高は3,767百万円、経常利益は502百万円と、糸井氏の知名度を武器に非常に高い利益率を誇る会社となっています。

新規上場各社の初値騰落率

上記3社の公募価格に対する初値騰落率は次のようになりました。

株式会社ファイズ 公募価格1,250円→初値4,010円(対公募価格騰落率221%)
株式会社うるる 公募価格3,000円→初値3,330円(同騰落率11%)
株式会社ほぼ日 公募価格2,350円→初値5,360円(同騰落率128%)

注目を浴びたほぼ日は上場初日に株価が付かず、上場日翌日の3月17日に初値が付くほど人気化し、騰落率128%と公募価格の2倍以上の初値となりました。

一方、最も騰落率が高かったのは、株式会社ファイズの221%です。公募価格に対し3倍以上の株価で初値が付きました。

株式会社ファイズはどのような会社か

ファイズは、インターネット通販会社向けの物流代行企業(本社:大阪)です。2013年10月設立のベンチャー企業ながら、インターネット通販市場拡大を背景に下記のような急成長を果たし、設立約3年半でのスピード上場となりました。

2014年3月期 売上高36百万円、経常利益▲25百万円、当期純損失▲17百万円
2015年3月期 売上高2,191百万円、経常利益27百万円、当期純利益5百万円
2016年3月期 売上高3,492百万円、経常利益105百万円、当期純利益47百万円

この度のIPOでは同社の成長性を評価した買いが入り、公募価格を大幅に上回る初値が付きました。

まとめ

上場市場は東証の売買代金が2兆円割れの日が発生する等、停滞ムードが継続している反面、IPO市場は活況を呈しています。話題のほぼ日も公募価格に対し初値が2倍以上になり、IPO市場は活況を呈したままでIPOラッシュの週に突入することになります。

IPOラッシュ時は資金が必然的に各銘柄に分散されるため、3月末の2週間はIPO市場の底堅さを試すことになります。なお、来週はラーメンチェーン店「一風堂」を展開する力の源ホールディングス(3561)、ファンドによる非上場化の後に再びIPOを行うマクロミル(3978)といった銘柄に注目が集まることが予想されます。

この2週間をどのような形でIPO市場は乗り切ることとなるのか注目です。

LIMO編集部