4. 実際に繰上げ受給をする人は多いのか
では、実際に繰上げ受給をする人は多いのでしょうか。厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から実態を確認します。
4.1 新法厚生年金保険(老齢厚生年金)受給権者の繰上げ・繰下げ受給状況
- 繰上げ…0.5%
- 本来…98.5%
- 繰下げ…1.0%
4.2 国民年金 受給権者の繰上げ・繰下げ受給状況
- 繰上げ…11.7%
- 本来…86.7%
- 繰下げ…1.6%
国民年金の受給者は約1割が繰上げ受給しているようですが、それでも少数派です。厚生年金加入者は「退職金」が受け取れることも多く、こうした背景から繰上げ受給を選ぶ人は少ないことが予想されます。
反対に「繰下げ受給」とは65歳より後に年金受給を遅らせる制度で、受給額をアップさせる効果があります。
資料を見る限りは、どちらもまだまだ少数派であることがわかりますね。
5. まとめにかえて
年金受給を前倒しする「繰上げ受給」の実態に迫りました。
実態としては厚生年金も国民年金も「65歳から」受給する人が多数です。繰上げ受給に頼らず、働き続けたり老後資金を準備したりして対応する家庭が多いことが垣間見えます。
制度には必ずメリットとデメリットがありますが、それらをしっかり比較した上で「自分に合う方法」を見極めることがポイントとなります。
厚生年金・国民年金どちらの加入者も年金だけでなく自助努力が必要となるこれからの社会。人生100年時代も見据え、できるだけ早く老後の準備を始めておきたいですね。
参考資料
太田 彩子