米利上げペースが加速せず、肩すかしだった1週間
先週(2017年3月13日-3月17日)の世界の株式市場は、米国株が足踏みを続ける一方、日本を除くアジアを中心に新興国市場が上昇し、欧州市場もしっかりでした。主要市場の週間騰落率は、現地通貨ベースでTOPIXが▲0.5%下落しましたが、米S&P500が+0.2%、独DAXが+1.1%、上海総合が+0.8%いずれも上昇しました。その他の市場では、韓国、台湾、インドネシア、インド市場が高く、欧州主要国の市場も上昇しました。一方、ブラジル市場の下げが目立ちました。
先週のポイントは①米国の金融当局の描く利上げペースが市場の期待に届かず長期金利が低下し米ドルが下げたこと、②物色が商品、新興国株、欧州株に向かったことの2つです。
先週は米国が利上げを実施しましたが市場の想定通りでした。しかし、事前の市場の期待に反して、金融当局の描く2017年の利上げは年3回(残り2回)がメインシナリオと判明し、さらに米国の物価指標の上昇モメンタムが鈍化しました。このため債券から株式へという動きが一旦止まったと見られます。手掛かり材料が不足するなか米国株は2週連続で小動きに推移しました。
市場の関心は米国株から商品・新興国株・欧州株に向かいました。原油価格が下げ止まり、商品市況が持ち直しました。株式市場では韓国、台湾、インドネシア、インドの市場が勢いづいています。個別では資源関連株とアジアのテクノロジー株の上昇が目立ちました。
アウトルック:新興国株と欧州株のリードが続くか
今週(2017年3月20日-3月24日)は先週の流れが続き新興国株と欧州株が世界株を牽引するのかがポイントになるでしょう。
米国ではイエレンFRB議長をはじめとしてFRB関係者の発言が予定され、2月の耐久財受注などが発表されます。しかし、トランプ政権の経済政策の具体像に関する材料が出ない限り、米株全体の値動きは引き続き小休止を続けるのかもしれません。ナイキ、フェデックス、マイクロンなどの決算に注目をすべきでしょう。
世界景気の体温が改善するなかで、資源価格が落ち着き、米国の金利引き上げが加速しない環境であれば、新興国株への物色が継続すると予想されますので推移を見ていきたいと思います。金融緩和策の終わりの始まりを意識し始めた欧州株のゆくえも興味深いです。アップルの新製品情報やドイツで開催されるCeBITも気に留めておきたいイベントです。
椎名 則夫