重要イベントが相次ぎ、市場は様子見姿勢。「森友学園」問題も懸念

2017年3月17日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より68円55銭安の19,521円59銭となりました。

先週は非常に小幅な値動きで膠着状態でした。ザラ場の高値は13日の19,656円、安値は16日の19,454円で、その差は202円あまりです。終値の高値と安値の差は112円あまりしかありませんでした。

背景として、国内外の大型イベントが相次いだことが挙げられます。まず海外では、14~15日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれ、15日にはオランダ下院議会選の投開票も行われました。

連邦準備制度理事会(FRB)は15日のFOMCで、昨年12月以来、3か月ぶりの利上げを決めました。利上げ幅は0.25%です。ただし、今回の利上げは織り込み済みで、市場は今後の利上げのペースに注目していました。市場は年4回の加速へとペースが速まるという見方もありましたが、イエレン議長がそれに対して緩やかな利上げペースを維持すると語ったことから、ドルが売られる展開となりました。

15日のオランダ下院選では極右・自由党が第1党に届かなかったことから市場には安心感が広がりました。

国内では16日まで、日銀の金融政策決定会合が開かれましたが、現状の金融政策を据え置くことを決めたことから株式市場の反応は限られました。

今後の動きはどうなるでしょうか。一つ懸念されるのは、大阪の学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る問題です。理事長退任を表明した籠池泰典氏の証人喚問が23日に行われます。投資家も、ひとまずそれまでは売買を見送る動きになりそうです。さらに今後、国政が停滞すると、海外投資家からは売りのタイミングとみなされかねません。

17日のニューヨーク外国為替市場で円相場は4日続伸し、1ドル=112円70~80銭で終えました。円高・ドル安の流れとなっており、積極的に買われる展開になりづらいことから、週初は注意が必要です。

レンジの上限の高値圏で小幅なもみ合いが続く

今週の動きをテクニカル面から見てみましょう。レンジの上限の高値圏で、小幅にもみ合う動きになりました。

ローソク足の形としては包み線(抱き線)や、はらみ線になっています。テクニカル分析の教科書であれば「高値圏での売り転換を暗示」などと書かれるところですが、値幅が小さいだけに判断が難しいところです。

むしろ、16日にはやや長めの陽線となっていることから、イベント通過で買い戻しの動きになったと考えたほうがいいでしょう。

三角保ち合いは下値が切り上がる展開。膠着状態から上抜けに期待

今後の動きはどうなるでしょうか。先々週3月10日の終値は、19,604円となり、終値ベースで、大発会の1月4日に付けた昨年来の高値(19,594円)を更新しました。このまま1段上のステージに抜けていくかと思われましたが、昨年の12月末以来、何度もトライして跳ね返されている19,600円付近で、また上値を抑えられました。

ただし、チャートの形としては上値が一定で下値が切り上がるアセンディングトライアングル(上昇三角形)の形になっています。強気のチャートです。特に先週は、25日移動平均線に達する前に反発しています。

三角保ち合いの形で、振幅が次第に小さくなっています。日柄調整も進んでおり、どちらかに抜けていくでしょう。どちらに抜けていくかといえば、やはり、下値が切り上がっていることから、上に抜けていく可能性が高いと考えられます。

上値のめどとしては、まずは3月2日の高値(19,668円)となります。19,668円を抜けると、目立った節は、2015年12月1日の高値(20,012円)ぐらいしかなく、視界は広がっています。

ただし、ここ数日、商いが薄くなっており、しばらくは小幅なもみ合いが続くことも考えられます。25日移動平均線あたりまで調整が入るようであれば押し目を狙ってもいいでしょう。あるいは、16,600円付近の抜けを確認してから出動しても遅くはないと思います。

下原 一晃