任天堂(7974)が3月3日に新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ」を発売しました。「本体価格29,980円は高い」との意見もあった中、発売初日に量販店では行列ができ、売り切れ店が続出するなど、出足は非常に好調との報道が相次いでいます。

ブレイクの予感があるニンテンドースイッチを背景に、任天堂は株価上昇のきっかけをつかむことができるのでしょうか。

出足好調で再入荷分も品切れ店続出の「ニンテンドースイッチ」

ニンテンドースイッチの発表は2016年秋。「Wii U」が苦戦した任天堂にとっては2012年以来、実に4年ぶりに発売する据え置き型ゲーム機ですが、スマホゲーム全盛の今の時代では大きな賭けにも見えました。また、29,980円という任天堂のこれまでの機種と比べると高めの価格設定もあり、ニンテンドースイッチへの不安の声も聞かれました。

しかしながら3月3日の発売日に蓋を開ければ、量販店にはニンテンドースイッチを買い求める行列ができ、多くの店で即日完売するなど非常に出足は好調。さらに、翌週の再出荷分も行列そして売り切れ店が続出するなど、据え置き型ゲーム機の大御所・任天堂の面目躍如たるものがあります。

ゲームソフトの本格投入はこれから

ただし、肝心のゲームソフトの品揃えはこれからです。ゼルダの伝説シリーズの最新作といった看板製品はあるものの、スーパーマリオシリーズやWii Uで大ヒットしたスプラトゥーンなどの人気ソフトおよび外部ゲームソフト会社のソフト投入もこれからの状況です。

今後、人気シリーズの最新作投入とともにニンテンドースイッチがさらに人気化する可能性があるため、ニンテンドースイッチ発売効果による任天堂の業績の伸びはこれからが本番と言えます。

「ポケモンGO」で伸び「スーパーマリオラン」で失速した任天堂の株価

2007年11月の73,200円という高値をピークに長く下落を続けた任天堂の株価ですが、2016年7月に大きく上昇しました。理由はスマホゲーム「ポケモンGO」のスタートです。

他社との合弁事業であり、無料プレイが大半であるため実際の任天堂への収益貢献度はそれほど大きいとは言えないものの、社会現象にもなったポケモンGOの流行をきっかけに任天堂の株価は15,000円付近から一気に30,000円を超えるまでに上昇しました。

ところが12月にスタートしたスマホ向けゲームの「スーパーマリオラン」は、下馬評に反してユーザーの伸びは今一つという評価になり、スーパーマリオランの伸び悩みと共に任天堂の株価も下落しました。ポケモンGO開始前の水準にまで株価が戻ることはありませんでしたが、それでも30,000円付近の壁に跳ね返された形となりました。

株価32,000円を明確に上抜けできるのかがポイント

上述のように、任天堂の株価はポケモンGOで急騰し、その後スーパーマリオランで下落。そして今回、ニンテンドースイッチの発売開始で若干株価を戻した形となっています。

ポケモンGOを契機に任天堂の株価の出来高は着実に増加しています。出来高の増加は株価上昇のよい傾向ですが、株価面ではポケモンGOの際に付けた2016年7月の32,700円が天井を形成しています。そして、スーパーマリオラン発売前に再度30,000円を超える時期もありましたが、スーパーマリオラン失速とともに株価は下落しています。

任天堂の株価が今後上昇するためには、株価は明確に30,000~32,000円を上方ブレイクする必要が生じます。実は32,000円という株価は、任天堂にとっては2010年3-4月に下落トレンドの中、いったん反発を試みた地点でもあり、節目の株価と言うことができます。

2013年を底に徐々に立ち直りつつある任天堂の株価ですが、32,000円という節目の株価を明確に超えることが、今後の任天堂の株価上昇のためには必要不可欠となります。

任天堂の過去1年間の株価推移

まとめ

スマホゲーム全盛の時代にあえて据え置き型ゲーム機にこだわる任天堂の姿は、さすが業界の雄と言えるでしょう。前評判をよそに好調な出荷を続けるニンテンドースイッチは、任天堂にとって1億台以上を出荷した「Wii」の再来となるのでしょうか。

また、株価は節目の32,000円を確実に超えて、久しくなかった上昇トレンド入りとなるのでしょうか。出だし好調のニンテンドースイッチの販売が今後株価にどのような影響を与えるのか、注目したいと思います。

LIMO編集部