3月10日(金)に2月の米雇用統計が発表され堅調な雇用状況が確認されました。今週は3月14日(火)~15日(水)にFOMC(連邦公開市場委員会)が開催され、金利引き上げが濃厚となっています。

注目点は利上げ後の為替の値動きとなりますが、先週のマクロ統計などを振り返るとともに、今後の展開を読み解いていきましょう。

3月6日の週の為替状況

3月6日の週は10日(金)に雇用統計、14(火)~15日(水)のFOMCでの金利引き上げが控えている中、大きな値動きはありませんでした。10日に向け円安で推移しましたが、雇用統計発表の後、若干円高に戻しています。

在庫増を受け原油価格(WTI)が急落

原油価格(WTI)は急落しました。米国エネルギー情報局(EIA)が8日に米国内の原油在庫を発表しましたが、事前予想を大きく上回る在庫量が明らかとなりました。産油国の減産にもかかわらず原油の需給が締まっていないようです。

その結果、投資家マインドが強気から弱気に一転し、原油価格は53ドル付近から産油国の減産合意前の水準である50ドルを割る水準にまで下落しました。

50ドル近辺は、米国のシェールガスの採掘の損益分岐点に近いと言われている水準であり、今後も時々のオーバーシュートはありつつも、原油価格は環境変化が生じなければ当面50ドル近辺での値動きが継続する可能性が高いと予想されます。

金価格(XAU/USD)も下落

前週から続いていた金価格(XAU/USD)も下落しました。10日(金)の雇用統計発表でいったん反発したチャート形状とはなりましたが、月~木曜は日足で陰線と下落トレンドが継続しています。

現状では、逆相関の傾向にある米国株と金価格の関係がやや崩れています。リスク指標とも言うべき金価格ですが、米国株式市場は停滞気味に推移したにもかかわらず、金価格も軟調に推移しています。

6日の週の金価格の下落は2月下旬に大幅に上昇した米国株式市場を後追いする値動きなのか、それとも独自の値動きなのかは分かりません。ただし、今後の金価格の方向には留意が必要でしょう。

なお、金価格と逆相関の傾向にあるUSD/CHFはアメリカ株式市場と同様ほぼ横ばいの値動きです。総合的に判断すると金価格が単独で動いている状況ではないかと推測できます。

3月13日週の為替の注目ポイント

今週は3月14日(火)~15日(水)にFOMCが開催され、利上げの可能性が濃厚のようです。為替市場で明確なトレンドが生じるとすれば、15日の金利引き上げ発表以後となります。

過去の利上げと為替動向を振り返る

この20年でFRBは3回段階的な利上げを行っています。過去を振り返ると、1994年2月~1995年2月までの利上げでは「円高」、1999年6月~2000年5月までの利上げでは「円高」、2004年6月~2006年6月までの利上げでは「円安」となっています。

現在は2015年12月をスタートとする金利引上げ期間となっており、トランプ相場による円安は生じているものの、2015年12月を起点とすればUSD/JPYはまだ円高水準にあります。

15日に金利引き上げ発表の後、為替市場が円高方向に向かうのか、それともトランプ相場再点火の影響で円安方向に向かうのか、注目したいポイントとなります。

また、現状年3回の金利引き上げが予想されていますが、FOMC後の声明で年3回という金利引き上げのペースが維持されるのか、それとも雇用統計などの力強い経済指標を背景に金利引き上げのペースが速まるかという点にも注意が必要となります。

まとめ

雇用統計そしてFOMCの金利引き上げと、2大イベントを通り過ぎるまで為替市場は明確なトレンドが出にくい状況となっています。雇用統計は無難に通過したものの、まだ大本命とも言うべきFOMCが控えています。

為替市場にあまり値動きが無い中で、原油価格(WTI)、金価格(XAU/USD)が一足先に動きを始めた格好となっていますが、今後為替市場が原油価格や金価格からどのような影響を受けるのか、FOMCによる金利引き上げと合わせて非常に興味深い状況と言えます。

いずれにしても、今週は水曜のFOMC後の金利引き上げにより為替市場がどのように動くのかという点が一番の注目ポイントとなるため、今後の為替動向を占うためにもFOMC後の為替市場の値動きには細心の注意が必要です。

LIMO編集部