2022年3月3日、内閣府の経済財政諮問会議のなかで驚きの調査結果が報告されました。
2019年とバブル崩壊後の1994年の所得・就業構造について分析したところ、25年前の同年代と比べて「働き盛り世帯の所得は100万円以上減少している」との事です。
日本の平均年収は長年横ばいとなっている事で有名ですが、捉え方によっては「下がっているわけじゃない」と思っていた方もいらっしゃるかもしれません。
本稿では日本の平均年収世帯の貯蓄と負債、平均値だけではみえない日本の平均年収の裏側をお話したいと思います。
バブル崩壊後、日本の平均年収の裏側では何が起きている?
先述の調査から、この25年間でおきた日本の所得・就業構造の変化について3つのポイントをおさえておきましょう。
1.単身世帯や高齢者世帯の増加にともない、全体として低所得者の割合が増えている
65歳以上の高齢者世帯は全体の20%→36%に増加し、単身世帯は26%→38%に増加しているようです。
また、全世帯の所得の中央値は1994年が約550万円であったのに対し、2019年は約370万円まで低下しています。
2.働き盛り世帯の所得が100万円以上減少している
年齢別にみた所得の中央値の変化は以下のとおりです。
- 25~34歳:1994年470万円→2019年429万円(-41万円)
- 35~44歳:1994年657万円→2019年565万円(-92万円)
- 45~54歳:1994年826万円→2019年631万円(-195万円)
- 55~64歳:1994年560万円→2019年532万円(-28万円)
- 65歳以上:1994年50万円→2019年38万円(-12万円)
これをみると、年齢別の所得の中央値は全ての年代で減少しています。
とくに「35~44歳」「45~54歳」の減少幅が顕著で、貯蓄への影響も大きいものになりそうです。
3.非正規雇用のうち、若年単身世帯の割合が大きく上がっている
25~34歳までの若年単身世帯のうち、もっとも世帯数の多い階級は300万円台。つぎに400万円台が多いことは25年前と変わりありません。
しかし、300~400万円台の世帯の割合は減少し、500万円台と200万円台の割合が増加したため所得にばらつきが生じています。
200万円台が増加している要因は、若年層の非正規雇用の割合が大きく上昇したことにあるようです。
また、就職氷河期をふくむ35~44歳の単身世帯では1994年に所得階級がもっとも多かったのは500万円台です。
しかし、2019年は300万円台が最多になるなど大きな階級移動がおきています。