コロナ禍でむしろ面倒見の良さが際立った私立校。「できるだけいい教育を受けさせたい」と考える保護者にとって、中高一貫校は魅力的な教育環境だといえるでしょう。

筆者は3月上旬に今年度の入試速報説明会に参加しましたが、平日の昼間にもかかわらず、会場は満席。母親が多いかと思いきや、夫婦や父親だけの参加も多数あり、私立中学への関心の高さを改めて実感しました。

とはいえ、中学受験には高額な塾費用がかかり、私立中学に通わせるとなると学費などの金銭的負担が大きいという現実があります。

そこで、文部科学省の「平成30年度 子供の学習費調査」から中学生の子どもにかかる学習費はいくらなのか、また実際に私立中学に子どもを通わせている家庭の世帯収入はどのくらいなのかなど、私立と公立の違いと合わせて見ていきましょう。

公立と私立でかかる費用は3年間で275万円の差

まず、1年間でかかる学習費総額では公立中学48万8397円に対して、私立中学140万6433円と、公立中学の3倍近くの費用となっています。

3年間では私立中学が421.9万円、公立中学が146.5万円ですから、その差は275.4万円。

公立中学では高校受験を踏まえて学校外教育費が多くを占めていますが、私立中学でも通塾費用はかかっているようです。

【公立中学の学習費総額】48万8397円

  • 学校教育費…13万8961円
  • 学校給食費…4万2945円
  • 学校外教育費…30万6491円

【私立中学の学習費総額】140万6433円

  • 学校教育費…107万1438円
  • 学校給食費…3731円
  • 学校外教育費…33万1264円

学校教育費の構成比を見てみると、私立中学では授業料42万8574円(40.0%)と学校納付金等30万5130円(28.5%)で、学校教育費の7割近くを占めています。

出典:文部科学省の「平成30年度 子供の学習費調査」を元に筆者作成

一方の公立中学では、教科外活動費2万9308円(21.1%)と通学関係費3万7666円(27.1%)で、学校教育費の半分ほどになっています。