楽天(4755)は2月21日に1,000億円を上限とする自社株買いを発表。翌22日に株価は前日比で一時12%高となる高騰を見せました。
しかし、過去1年で見れば楽天の株価は1,000~1,400円付近でのボックス相場を上抜けるまでに至っていません。楽天の株価がボックス相場を抜けて今後上昇するための条件等を、業績面およびチャート面から考えてみました。
楽天が1,000億円を上限とする自社株買いを発表し株価急騰
楽天が2月21日に1,000億円を上限とする自社株買いを発表しました。同社の発行済株式数の約8%に相当する自社株買いに市場は驚き、翌日の株価は出来高を伴い窓を開けて上昇。新しい株価の展開を予想させる値動きとなりました。
楽天の決算を確認
楽天の売上高は着実に成長していますが、営業利益では2015年12月期、2016年12月期は対前年同期比で減益となっています。
- 2016年12月期 売上高781,916百万円、営業利益77,977百万円、当期純利益38,001百万円
- 2015年12月期 売上高713,555百万円、営業利益94,689百万円、当期純利益44,280百万円
- 2014年12月期 売上高598,565百万円、営業利益106,397百万円、当期純利益71,103百万円
金融部門であるFinTechセグメントが好調で収益の柱となった
それではセグメント別の売上高と損益を見てみましょう。
収益の柱が実はFinTechセグメント(金融部門)になっていることが明らかになります。
2015年12月期は、インターネットサービスセグメントの売上高は4,928億円、セグメント損益が909億円、Fintechセグメント(金融部門)の売上高2,751億円、セグメント損益が639億円となっています。
また、2016年12月期は、インターネットサービスセグメントの売上高は5,606億円、セグメント損益が556億円、Fintechセグメント(金融部門)の売上高は2,961億円、営業利益656億円となっています。
楽天はグループ会社で楽天証券、楽天銀行、楽天カードを始めとする金融子会社を有していることでも有名ですが、FinTechセグメントの損益を見ると2016年12月期にはインターネットサービスを上回り、全社収益を支えていることが分かります。楽天が目指す楽天経済圏の形成には金融事業が必要不可欠です。
楽天の株価をテクニカル分析
楽天の株価は2016年2月をスタートとするボックス相場を形成しています。
- ボックス相場の高値1,462円(2016年9月7日)
- ボックス相場の安値942.7円(2016年2月15日)
株価がボックス相場の高値および安値を超えない限り、当面はボックス相場が継続することになるでしょう。楽天の株価は自社株買いの発表直前に1,024円と安値に近接していましたが、自社株買いの発表とともに株価は窓を開け上昇し安値圏から離脱しています。
なお、2月24日の終値は1,144円と安値圏からの離脱は成功しましたが、ボックス相場の高値には距離がある状態となっています。
まとめ
楽天の株価のボックス相場内での値動きは、決算が再び増益トレンドとなるまではやむを得ないのでしょうか。足元のボックス相場を上方にブレイクして再度株価上昇を目指すために、引き続きFinTechセグメントでの増益とインターネットサービスでの反転を見たいところです。
LIMO編集部