NYダウ、最高値更新中

ニュースでよく耳にするNYダウは米国を代表する株価指数です。しかも、このNYダウは現在最高値を更新しています。トランプ氏が大統領選に勝利した2016年11月9日以降、その上昇が加速しています。

しかし、NYダウとは何かと問われるとうまく答えるのが難しいとお感じの方も多いのではないでしょうか。筆者も改めて見直してみましたが、新しい発見がありました。そこで、読者のみなさんとおさらいしていきたいと思います。

ダウ工業株30種平均とも呼ばれる

NYダウは正式にはDow Jones Industrial Average®という名称で、米国株式市場を代表する株価指数です。指数の算出が始まったのは1896年5月ですので120年の歴史を誇ります。NYダウのNYはニューヨークの意味です。

NYダウは、しばしばダウ工業株30種平均とも呼ばれます。ダウの株価指数には他に輸送株と公共株(電気ガスなど)があり、これらと区別されています。

日本語で「工業株」といわれると製造業の株価指数という印象がありますが、構成銘柄を見ると実態は少し違うことがわかります。「ダウ産業株30種平均」と名付けたほうが実態に即しているのではないかと思います。

銘柄構成

120年の歴史を持つNYダウは、その時々の産業構造を反映した「時代ごとのオールスター30銘柄」で構成されています。

銘柄の入れ替えが継続的に行われており、最近では2015年3月に通信のAT&Tがはずれてアップルが入りました。一貫して名を連ねているのはゼネラル・エレクトリック社のみといわれています。

30銘柄のうち、指数に占める構成比率の高い銘柄を10社あげてみましょう。

2017年2月24日現在、ゴールドマンサックス、3M、IBM、ボーイング、ユナイテッドヘルス、ホームデポ、アップル、マクドナルド、ジョンソン&ジョンソン、トラベラーズとなります。

このように、金融、ヘルスケア、外食が含まれた「工業株」の株価指数であることがわかります。

ナスダック総合指数が圧勝だった過去10年

さて、次に過去10年間のNYダウのパフォーマンスを見てみましょう。グラフの青線がNYダウ、赤線がナスダック総合指数、緑線がS&P500指数です。

ご覧の通り、いずれの指数もリーマンショックから立ち直り、それ以前をはるかに上回る水準にまで上昇しています。青線と緑線のNYダウとS&P500のパフォーマンスがほぼ同じだったこともわかります。

しかし、一番目を引くのは赤線であるナスダック総合指数のアウトパフォーマンスです。これはアップルやフェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、アルファベット(グーグル)といったテクノロジーのイノベーションを担う企業の価値がこの期間に高まったことによります。

トランプ政権誕生で逆襲を始めるNYダウ

しかし、トランプ氏の大統領選勝利後、風向きは変わりました。直近6か月の3指数のパフォーマンスを見たのが次のグラフです。

ごらんの通り、青線のNYダウが上昇を先導していることがわかります。

これはトランプ政権が金融を始めとする様々な規制を緩和したり、法人税を引き下げたりなど、いわゆるオールドエコノミーに属する企業に恩恵のありそうな施策を打ち出すと期待されていることに関係しています。

まとめ

いかがでしたか。トランプ政権になり、NYダウが米国株の主役に返り咲く可能性が出てきています。今後のNYダウの推移やその30の構成銘柄に今まで以上に関心を持っていただくと、米国経済を見る際の参考になると思います。

LIMO編集部