大谷翔平のココがすごい ③投球の組立

2018シーズン中に受けたトミー・ジョン手術の影響は、開幕前も心配されていましたが、2021シーズン後半から速球・変化球ともにコントロールが大幅に改善されています。

実践でイニング数を重ねることで投球フォームが安定し、一定の位置でボールをリリースできるようになったのが最大の要因です。

安定してストライクが取れる状況を作れることで投球の幅がひろが、四球の連発→早期降板という形がシーズン後半以降はほとんど見られず、長いイニングを投げ切れるケースが増えました。

また、配球面でも大谷選手は工夫を凝らしています。

大谷翔平選手・配球面での変化

引用:Baseball Savant(MLB.com)

新たにカットボールを投げ始めて早めに打者を追い込み、球数を減らしています。

大谷選手は常時150km/h以上のフォーシームを投げますので、打者としては振り遅れないよう早くタイミングをとる必要があります。

その心理を逆手に取り、大谷選手はカットボール・スライダーを早いカウントから投げて打者のタイミングを外していきます。

フォーシームとほぼ同じスピードを保ちつつ、手元で鋭く逃げていく変化でバットの芯を外し、少ない球数で凡打の山を築いていきます。新たな投球スタイルを確立しつつあるのが、登板を重ねるごとに感じられました。

一転、ピンチの場面では落差のあるスプリットとフォーシームを交えてストライクゾーンを上下左右に幅広く使い三振を奪う、本格派のピッチングも健在でした。

昨シーズンは特に中盤~後半にかけて、従来とは異なる大谷選手のピッチングスタイルが垣間見えました。今シーズンはどんなピッチングを見せてくれるのか、今から楽しみです。