年金が15万円以上あれば足りる?「老後の暮らしは、いくら必要?」

では、年金収入が「ひと月15万円以上」あれば、老後生活は安心できるものなのでしょうか?

夫婦世帯であれば、年金額も二人の合算で考える必要がありますね。よって、ここでは「単身世帯」を例に見ていきます。

総務省統計局の家計調査(家計収支-単身世帯-2020年)では、65歳以上・単身世帯のひと月の消費支出(生活費)の平均は、男性13万6923円、女性は13万9417円。

ひと月15万円程度の年金を受給できれば、一見老後の生活に問題はなさそうにもみえますね。しかし、ここで注意したい点がいくつかあります。

まず、老後の年金からも天引きされる税や社会保険料などが天引きされる点は、留意しておきましょう。

また、家計調査の消費支出の内訳をみると、住居費が持家世帯を前提として男女ともに1万円台で設定されています。この先も賃貸派、という場合は家賃分を考慮したマネープランを立てる必要があります。

さらに、支出の内訳には介護費用がまったく含まれていません。要介護度が上がり老人ホームなどの施設に入居を検討する場合は、1000万円単位の大型出費が発生するケースは、決して珍しくないでしょう。

老後の暮らしに必要となる金額は人それぞれですが、「介護費用」や「家賃費用」まで考えると、「厚生年金ひと月15万円以上」があっても厳しいといえます。

生活費以外のリスクも考えると、年金収入だけでは心もとないといえそうですね。次では長寿時代に備えた資産づくりについて考えます。