すかいらーくグループのSDGs・ESG戦略のポイントを解説!

「環境(E)」と絡めて、すかいらーくのようなレストラン運営会社の事業の持続可能性を考えた場合、「原材料調達の柔軟さ」が特に重要となってきます。原材料調達の柔軟さとは、事業環境に変化が起こっても食材などの原材料を安定して調達できる体制ということになります。

この点、すかいらーくのサプライチェーンに関する説明を見ると、全国に10カ所あるセントラルキッチンでは余分な在庫を持たず、保存コストを抑えるといった、安定性よりも効率性を重視する姿勢が見受けられます。

ただ、原材料の調達先は世界40カ国にも上り、為替変動の影響を最小限にとどめるほか、相場が高騰した食材については産地の変更や契約期間・量の見直しなどを実践しており、安定性のカバーもできているようです。

次に、「社会(S)」と絡めてすかいらーくの事業の持続可能性を考えた場合、「食の安全・安心」「労働管理」などが重要となってきます。食の安全・安心について取り組みは広範で、アレルギー物質や栄養成分、主要食材原産地の表示のほか、栄養バランスの取れた定食メニューの充実、ライスの量の加減、ソイブレッドや雑穀米の選択など、利用者が自分で選べるような健康メニューも提供しています。

また、労働管理においては、営業時間の変更を軸に大きな活動を展開しています。2017年に約350店で深夜営業時間の見直し、2019年には年末年始の営業時間短縮を新たに取り入れ、2020年7月以降は原則グループ全店の深夜営業時間を23時30分に短縮しました。こうした取り組みは単純に営業活動の縮小というネガティブなものではなく、利用者の新しい生活様式に合わせ、利用者が多く来店する時間、利用者が求める売り方(デリバリー・テイクアウト)に人的資産を集中させることで、事業の効率性向上や収益確保を企図したものでもあります。

こうしたすかいらーくの取り組みは、ESG投資におけるE・Sに直結するのはもちろん、SDGsが掲げる17のゴールの「すべての人に健康と福祉を」「働きがいも経済成長も」といった複数ゴールにも関わっており、投資家からの評価にもつながっていることでしょう。