「年金の時効」という悲劇を防ぐために
年金の請求には時効があります。年金を受けられるようになったときから5年を過ぎると、5年を過ぎた分の年金が時効により消滅します。やむを得ない事情が認められたときは書面で申し立てることもできますが、大きな労力がかかるでしょう。
万が一時効により消滅してしまえば、あわてて請求してもその5年前までしか受け取れなくなります。こうした悲劇を防ぐためにも、「受給開始年齢の誕生日の前日以降」に早めに申請しましょう。
申請忘れの原因は「うっかり」だけではありません。自分は大丈夫という「思い込み」が原因になることもあります。
「繰り下げ受給をするなら申請はいらない」という思い込み
年金の受給は原則65歳からですが、70歳に遅らせることで受給額を42%増額できます。老後の長い人生を考えたとき、少しでも受給額をあげるために検討する方も多いでしょう。
しかし、この繰り下げ受給には気を付けたい「思い込み」があります。仮に70歳に年金を受給しようと考えたとき、年金請求書はいつ提出したらいいのでしょうか。
実は70歳になってから提出するのでは遅いのです。
もし65歳に受給しないことを決めたのなら、66歳になった日以降に「老齢基礎年金・老齢厚生年金支給繰下げ請求書」を提出しないといけません。
66歳というのは、「老齢基礎年金の権利発生から1年経過した日より後」という決まりがあるから。1年間待たなくてはいけないので、忘れないように家族とも共有しておくと安心です。
その上で、70歳になったときに改めて年金請求書を提出する流れとなります。
2022年4月以降、さらに75歳まで繰下げ受給ができるようになる見込みです。年金の額をあげられるのは魅力ですが、このような手続きを忘れないような管理が必須ですね。