社会保険、適用拡大のポイントは?
2022年10月から拡大される、社会保険の適用。最後にその条件なポイントを確認しましょう。
来秋からは社会保険従業員101人以上の企業で働き、以下の一定要件を満たしたパートの方は社会保険へ加入できるようになります。
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 雇用期間が継続して2ヶ月を超えて見込まれること
- 賃金の月額が8万8000円以上であること
- 学生でないこと
社会保険(健康保険・厚生年金)へ加入することで保険料を支払う必要があるため、たしかに手取りは減ります。
一方で、健康保険に加入することで、傷病手当金や出産手当金といった保障も受けられます。
傷病手当金は、条件を満たせば、病気やケガの療養のために仕事を休んだ4日目以降の仕事に就けなかった日から、給与の3分の2相当を最長で1年6ヵ月間受け取れる制度。
これまで支給期間は「支給開始してから1年6カ月」でした。しかし2022年1月から支給期間が支給開始日から「通算して1年6か月」へと改正されます。
出産手当金は「出産日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)~出産日の翌日以降56日」まで、休業中に給与の3分の2相当が支払われます。万が一のときや出産のときに給与が支払われると安心ですね。
厚生年金に加入することで、老後の年金受給額も増えるでしょう。
実際に賃金が上がるかというと、現状では難しいところが多いです。扶養を抜けるか、社会保険に加入するかはご家庭の環境や個人の事情によるところが大きくなります。
制度の改正を機に、それぞれメリット・デメリットを出した上で今後の働き方について考えてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 日本年金機構「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
- 国税庁「No.1800 パート収入はいくらまで所得税がかからないか」
- PRTIMES「最低賃金の理想はいくらなのか? 働く主婦・主夫層に聞く、扶養を外す時給ライン「2,000円以上」なら約9割」
- 厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」
- 全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」
- 全国健康保険協会「出産手当金について」
- 厚生労働省「令和4年1月1日から健康保険の傷病手当金の支給期間が通算化されます」
宮野 茉莉子