育児中、非正規で働く女性の割合は?

では、実際に非正規で働く女性はどれくらいいるのでしょうか。少し前の統計になりますが、一つの参考として厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」より子どもがいる世帯の母親の仕事状況を確認します。

児童のいる世帯における母の仕事の状況の構成割合(2019年)

仕事あり:72.4%

  • うち正規の職員・従業員:26.2%
  • うち非正規の職員・従業員:37.8%
  • その他:8.5%

仕事なし:27.6%

※「その他」は会社・団体等の役員、自営業主、家族従業者、内職、その他、勤めか自営か不詳及び勤め先での呼称不詳を含む。

仕事をしている母の正規職員は26.2%、非正規職員は37.8%。その差は10ポイント以上です。2004年(平成16年)からの推移を見ると、それぞれおよそ10ポイントずつ増加しています。また、仕事をしていない専業主婦は27.6%ですね。

いまは1人で育児をするワンオペ育児や、実家が遠方で頼る人がいないというご家庭も多いでしょう。周囲の助けがなければ、育児をしながらの働き方については悩ましいところです。

筆者も保育園~小学生まで3人の子をワンオペ育児中ですが、心配なのは急な看病で休みを取るときのこと。いつ風邪を引くかわかりませんし、きょうだいがいれば順番にうつり1週間以上看病が必要なことも。また、感染症の種類によっては親の方が重症化するケースもあります。

病児保育もありますが、地域差が大きいもの。定員もあるため必ずしも預かってもらえるわけではないようです。

また、習い事や塾の送迎、園や学校の行事が平日だったり、役員やPTA活動、宿題の丸付け、旗振りなどの負担もあり、長時間働けないという声もあります。そもそも体力が持たない、という不安を抱えている方もいるでしょう。育児には親の心身の余裕も大切なので、それを保つためにもあえて働き方をセーブしている方もいます。

一方で、子どもが大きくなってくるとお金面での心配事は増えます。育児世代は「教育費・住宅資金・老後資金」の人生三大支出すべてを担うご家庭が多いでしょう。教育費の負担が増え、老後も年金のみでは生活できないと聞くと働く必要性も感じます。

ソニー生命の「女性の活躍に関する意識調査2020」では、専業主婦の72.7%が「老後の生活が心配だ」と答えています(ソニー生命調べ)。子どもがある程度大きくなってからいざ働こうと思うと、自分の年齢もあがるため「そもそも働けるのか」といった悩みもみられます。