2022年10月よりパートの方の厚生年金適用が拡大されます。この動きは2016年10月から始まり、2024年10月にはさらに適用が拡大される予定です。これを受けて、はたらく女性は今後も増えると考えられます。
総務省統計局の「労働力調査(詳細集計)」によれば、1980年(昭和55年)の専業主婦世帯は1114万世帯、共働き世帯は614万世帯。80年代は専業主婦世帯が主流でしたが、90年代に逆転し、2020年は共働き世帯が1240万世帯、専業主婦世帯が571万世帯です。
いまの働く世代の方が子どものころ、親世代は「専業主婦が多かった」というイメージを抱える方もいるでしょう。実際に、専業主婦はそれほどに多かったのでしょうか。65歳以上の年金受給者の経歴や平均年金額に迫ります。
65歳以上「夫は正社員・妻は専業主婦」の夫婦は約19%
少し前の資料になりますが、厚生労働省の「平成29年老齢年金受給者実態調査(特別集計) 」より、65歳以上で配偶者がいる世帯の夫婦の経歴を確認しましょう。
【65歳以上・配偶者あり世帯】夫婦の現役時代の経歴
- 夫婦ともに正社員中心:18%
- 夫は正社員中心・妻はパート・アルバイト中心:16%
- 夫は正社員中心・妻は収入を伴う仕事をしていない期間中心:19%
- 夫婦ともに自営業中心:12%
- その他の組み合わせ:35%
※「正社員中心」とは20~60歳までの40年間のうち、20年を超えて正社員だった者(他についても同様)。
65歳以上の方は「夫は正社員中心・妻は収入を伴う仕事をしていない期間中心(≒専業主婦)」のご家庭が多い印象ですが、実際は約2割でした。「夫婦ともに正社員中心」とほぼ同じです。「その他の組み合わせ」の実態がわかりませんが、思ったよりも少ない印象です。
参考までに、それぞれの夫婦の組み合わせの平均年金額も確認しましょう。
【65歳以上・配偶者あり世帯】平均年金月額
- 夫婦ともに正社員中心:28.7万円(夫17.4万円・妻11.3万円)
- 夫は正社員中心・妻はパート・アルバイト中心:24.9万円(夫17.6万円・妻7.3万円)
- 夫は正社員中心・妻は収入を伴う仕事をしていない期間中心:26.3万円(夫20.1万円・妻6.2万円)
- 夫婦ともに自営業中心:15.8万円(夫8.9万円・妻6.9万円)
平均:23.8万円(夫16.1万円・妻7.7万円)
年金額で比べると、最も多いのはやはり「夫婦ともに正社員中心」でした。
次に「夫は正社員中心・妻は専業主婦中心」が、「夫は正社員中心・妻はパート中心」よりも年金額が多くなっています。夫婦別の年金額で見ると、「夫は正社員中心・妻は専業主婦中心」の夫の年金額は20.1万円。それぞれの経歴の中で最も高いですね。
妻が専業主婦中心のご家庭は、夫の収入が高いのも一つの要因と考えられるでしょう。