「夫婦の働き方」で、老後の年金はどう変わる?

ここまでは、いまの年金世代が受け取る、国民年金(基礎年金)・厚生年金の月額をながめてきました。

紹介したのはあくまでも「1人分の年金額」。これを見る限り、公的年金だけに頼る老後はあまりにも心許ない、と感じた方が多数派でしょう。

ただし、夫婦世帯であれば二人分の年金収入で、どこまで生活費がカバーできるか期待も持てそうですね。そこで、夫婦の年金受給パターンを4つに分けて、受給額がどのように変わるかを比べてみましょう。

夫婦それぞれが「男女別平均年金月額」を受給することを想定して、単純計算します。金額はあくまでも参考程度にごらんください。ここで着目して頂きたいのは、パターン別受給額の「差」です。

パターン1 「夫は厚生年金・妻は国民年金」

夫婦合算:21万8469円(夫16万4770円+妻5万3699円)

パターン2 「夫婦ともに厚生年金」

夫婦合算:26万7929円(夫16万4770円+妻10万3159円)

パターン3 「夫婦ともに国民年金」

夫婦合算:11万2565円(夫5万8866円+妻5万3699円)

パターン4 「夫は国民年金・妻は厚生年金」

夫婦合算:16万2025円(夫5万8866円+妻10万3159円)

パターン1の、夫婦ともに平均的な厚生年金の月額を受け取る場合、世帯の年金収入は約27万円です。

一方、夫婦ともに平均的な国民年金の月額を受け取る場合は、約11万円。二人が「満額」受給できた場合でも、約13万円。パターン1の夫婦のほぼ半分の額ですね。

公的年金の給付水準は物価や賃金を考慮しながら見直しが行われます。いまの現役世代が年金世代になるころ、現在と同程度の金額を受け取れるかどうかは分かりません。

厚生年金に加入されているサラリーマン世帯ならば、国民年金よりも受給額が期待できることは確かですが、現役時代の収入には及びません。さらに、高収入であった人ほど、現役世代の稼ぎと年金額のギャップが大きい点も心得ておく必要がありそうです。

いったん慣れてしまった生活レベルを下げることはなかなか難しいでしょう。また、老後に必要となるお金は、健康状態や価値観など、さまざまな要因の影響を受けて人それぞれ。

まずは、世帯の年金見込額、そしてひと月の生活費をしっかり把握してみましょう。老後に向けた資金計画の第一歩となりそうです。