農業労働者が足りなければ農産物を輸入しよう

農業労働者が足りないのであれば、農産物を輸入すれば良いのであって、農業のために外国人労働者を受け入れる必要はありません。「農産物の輸入が増えると日本人の農業労働者が失業してしまう」という場合には農産物の輸入を増やさないように制限することも要検討ですが、そうでないならば必要なだけ輸入すれば良いのです。

外国の広い土地で農産物を作ってもらって輸入した方が、安い農産物が食べられるかもしれません。加えて、外国人労働者にとっても、自国で働いて農産物を日本に輸出する方が、日本に働きに行くよりもはるかに快適でしょう。

製造業も、労働力不足ならば国内生産を減らして輸出を減らすか輸入を増やすかすれば良いのです。輸出が減ると国内労働者が失業してしまうという状況では輸出の減少は問題ですが、労働力不足ならば輸出の減少や輸入の増加は何も問題ではありません。

それによって日本の貿易収支が赤字に転落する可能性はありますが、日本の国際収支統計を見ると、利子配当収入が巨額なので、経常収支が赤字に転落することは考えにくいでしょう。

まして、巨額の対外純資産が消滅して「国債を外国人投資家に買ってもらわなければならなくなる」といった事態には陥らないでしょうから、貿易収支を気にする必要はないわけですね。

本稿は以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

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塚崎 公義