働く世帯が上手に「資産形成」するには?

勤労者世帯の貯蓄(平均)現在高は1378万円、負債(平均)現在高は1569万円でした。資産の収支で考えると、マイナス191万円です。

先述の「借入時年齢+返済期間」からは、住宅ローンの完済予定が退職後の70歳以上となる世帯が多いことも予想されます。そして完済後の老後生活の収入源は主に年金となるでしょう。現役世代の給与収入の水準には及ばない額です。

さらに赤字がかさみ、いわゆる「老後破綻」一直線となる可能性があります。この「老後破綻」を避けるためには、「住宅ローンの返済と並行して、資産を育てていく」という発想が必要となるでしょう。

つまり「資産運用」です。この資産運用に欠かせないのが「複利と時間」です。

ローン借入期間が長いほど利息額が膨らみますね。それと同じ理屈で、資産運用の期間が長いほど、「利子が利子を生む」複利のメリットが期待できます。

期間が長ければ長いほど利息額が大きくなるのと同じで、期間を掛けて資産を増やせば増やすほど、利息が増えるものとなります。ここで、具体的に試算してみましょう。

試算の条件

住宅ローン

  • 借入金額:2600万円(ボーナス分なし) ※上記不動産種別借入金額を参考にした全平均額
  • 借入期間:30年 ※上記不動産種別平均返済期間を参考にした全平均期間
  • 借入金利:1%と仮定(固定金利)
  • 返済方法:元利均等

積立資産運用

  • 毎月積立額:3万円 ※30年間の積立元金1080万円
  • 積立期間:30年
  • 複利利回り:6%

試算の結果

  • ローン総返済額:3473万円(うち利息:473万円)(※3)
    積立資産運用結果:3013万円(うち利息:1933万円)(※4)

 

それぞれ下記による試算です
※3 住宅保証機構株式会社「住宅ローンシミュレーション」
※4 金融庁「資産運用シミュレーション」

このように住宅ローンは低金利で返済し、預貯金に対しては金利の高いもので資産運用をすると、30年後にはローン残高は0円になり、資産は3000万円以上築けている試算となります。

住宅ローンの借入・返済と「並行して」資産運用を行うことがポイントです。