この記事の読みどころ

  •  米国の個人消費支出には鈍化の兆しが出始めています。
  •  前回、2年ぶりの高水準となったISM製造業景況指数は今回も高水準が予測されています。
  •  米国の雇用環境は引き続き良好な見通しです。

今週発表される経済指標の中から、特にマーケットインパクトを与えそうな経済指標をいくつかピックアップしてみました。ぜひチェックしましょう!

出所:各種報道をもとに筆者作成

鈍化の兆しが出始めた米国の個人消費支出

1月30日(月)22:30に、米国の12月個人消費支出(食品・エネルギー除く、前月比)が発表されます。

同指標は、商務省経済分析局(BEA)が公表し、個人所得と実際の消費動向を捉えるものです。

特に、変動の大きい食品価格とエネルギー価格を除いたPCE(Personal Consumption Expenditure)コア・デフレータの前月比が重要な指標となり、通常、「コアインフレ」と呼ばれます。

前回、11月の同指標は+0.0%(前月比)と市場予想の+0.2%(同)を下回りましたので、米国経済が第4四半期に入り減速し始めた可能性があります。

今回、12月の同指標の市場予想は+0.1%(同)となっており、今後の動向に注目が集まりそうです。

2年ぶりの高水準となったISM製造業景況指数

2月2日(木)00:00(日本時間)に、米国の1月ISM製造業景況指数が発表されます。

同指数は、米サプライマネジメント協会(Institute for Supply Management。以下、ISM)が公表し、製造業300社以上の購買担当役員にアンケート調査を実施するものです。米国の主要経済指標の中で最も早く公表されるため、マーケット参加者からも注目されています。

前回、12月の同指数は54.7と景況感の節目である50.0を4カ月連続で上回り、2014年12月以来の高水準となりました。

今回、1月の同指数の市場予想は54.8と、先月を上回る見通しとなっています。

引き続き良好な米国の雇用環境

2月3日(金)22:30には、米国の1月雇用統計(前月比)が発表されます。

同指標は、米国労働省労働統計局が公表し、特に、「非農業部門雇用者数の変化率」と「失業率」に関心が集まります。

前回、12月の同指標は15.6万人(前月比)と市場予想の17.5万人(同)を下回り、失業率も4.7%(同)と前月から0.1ポイント悪化しました。

ただし、11月の4.6%は2007年8月以来の低水準だったこともあり、悪化と判断するのは早計でしょう。

今回、1月の同指標の市場予想は16.3万人(同)、失業率4.7%(同)となっており、好調な雇用環境が継続する見通しです。

【参考情報】各経済指標の元データ

米国の個人消費支出は商務省経済分析局(BEA)のウェブサイト、米国のISM製造業景況指数は米サプライマネジメント協会のウェブサイト、米国の雇用統計は労働省労働統計局のウェブサイトをそれぞれご参照ください。

 

岡野 辰太郎