2021年11月15日に行われた、株式会社i-plug 2022年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社i-plug 代表取締役CEO 中野智哉 氏
株式会社i-plug 取締役CFO 田中伸明 氏

2022年3月期第2四半期決算説明会

田中伸明氏(以下、田中):決算内容をご説明する前に、みなさまからご質問を多くいただいている「現在の新卒採用市場」および「当社の収益認識の特徴」の2点についてご説明させていただきます。

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欧米と比較するかたちで、日本の新卒採用についてお話しします。まず採用スタイルですが、欧米の通年採用・即戦力人材を求めるスタイルに対し、日本はまだまだ「メンバーシップ型」と呼ばれる終身雇用を前提とした一括採用が主流となっています。

そのため、欧米において選考で重視する点が、実務経験や能力であるのに対し、日本はコンピテンシーや保有経験といったポテンシャルを重視しています。

採用プロセスについても、欧米の場合は実務経験や能力を高めるため、在学中はインターンシップや学業に専念し、卒業直前あるいは卒業後に就職活動に取り組みます。これに対し日本のスケジュールは、3年にインターン、4年に本選考となっており、内定出しは5月から6月にかけて行われています。

日本の就職活動のスケジュールは、政府がペースメイクとして指針を示しており、大きな流れとして、3年生の3月から「広報解禁」、4年生の6月に「選考解禁」となっています。3年生の3月にある「広報解禁」を境に、それ以前は「インターンシップ期間」以降は「本選考期間」と呼ばれています。

政府の指針では、選考が4年生の6月からとなっていますが、実態は3年生の3月が選考開始の山になっており、政府の指針をもとに各社が戦略的に活動しています。そのため、昨今の傾向は早期化していると言えます。

OfferBoxの特徴 サービス構成

「OfferBox」の料金体系をご説明します。各社の採用戦略に合わせ、2つのプランを提供しています。

「成功報酬型プラン」は、3年生の3月にある「本選考開始」と同時に利用可能となります。こちらは、採用成功時のみ成功報酬費用として1名当たり38万円をいただくプランとなっています。利用料は無料のため、業界最安値水準の成功報酬費用です。内定辞退時には成功報酬費用を全額ご返金しており、利用企業にとってリスクが低くなっています。

初めてダイレクトリクルーティングを導入する企業にとっては、非常に敷居が低いサービスです。多くの企業が成功報酬型から利用し始め、「よい学生に会えた・採用できた」といった成功体験を積み、本選考前から利用開始できる「早期定額型プラン」へ契約を変更していただく流れができています。

「早期定額型プラン」は、先に成功報酬のかからない採用枠を購入し利用料をお支払いいただくとともに、インターンシップ期間から利用できるプランになっています。利用料は返金しない分、単価をディスカウントしています。

単価は「成功報酬型」の38万円に対し、「早期定額型」は25万円となっており、3名プランから提供しています。資料に記載したとおり、3名プランの利用料は75万円になります。4名以上採用した場合は、通常の成功報酬費用が発生します。

当社収益の特徴 就職活動スケジュールと会計年度

スライドは、就職活動スケジュールと会計年度の関係性を図示したものです。当期の業績は、2022年卒の本選考、つまり2022年卒の「成功報酬型」の売上と、2023年卒のインターンシップ期間、つまり2023年卒の「早期定額型」の売上が主な構成要素となっています。

先ほどご説明したとおり、2022年卒の「成功報酬型」で成功体験を積んでいただけた場合、同じ会計年度中に「早期定額型」へご契約いただくことが可能です。そのため、成功報酬企業への支援が非常に重要になります。この活動を「オンボーディング」と称し、そのための営業人員を補強し、取り組みを強化しています。

当社収益の特徴 収益構造

では「OfferBox」の収益認識の特徴についてご説明します。当社の収益構造は、少しわかりづらくなっています。こちらに関して、2点ほどお伝えします。

1点目はプランにかかわらず、費用先行型の収益構造になっていることです。2点目は、「早期定額型」の売上計上ルールにクセがあることです。

まず「成功報酬型」ですが、こちらは至ってシンプルです。採用成功時に受注イコール売上が計上されます。ただし「成功報酬型」を利用する企業の開拓は、主に前会計年度の活動となっています。マーケティング費用や新規開拓の営業費用は、前会計年度を中心に発生していると考えてください。

「早期定額型」は、役務提供期間にわたって受注高を按分して、売上を計上しています。役務提供期間は、インターンシップ期間から本選考期間までの最長24ヶ月になります。そのため、会計年度をまたぐかたちとなります。

つまり、受注総額のうち7割は受注した会計年度中に計上されます。そして残りは前受収益となり、翌年度に按分し計上されるということです。詳しくは、次のスライドにてご説明します。

当社収益の特徴 早期定額型の収益認識について

「早期定額型」は2階建て構造になっています。具体的には、早い時期から使える役務と、事前に購入していただいた「入社合意枠」をいつでも利用できる役務の2つとなります。

早い時期から使える役務として、スライドに記載した「早期オファー枠サービス」は、「早期定額型」において受注高の6割を占めています。利用開始から3年生の2月までが役務提供期間となります。例えば、11月に受注した場合、翌年2月までの4ヶ月間で按分し売上計上します。

一方、「入社合意枠サービス」は、「早期定額型」における受注高の4割を占めており、受注してから、対象の学生が卒業する4年生の3月までが役務提供期間となります。先ほどの例と同じように、11月に受注した場合、4年生(翌々年)の3月までの17ヶ月間で按分し、売上計上するかたちになります。この部分が、会計年度で2期間にまたがり売上計上されます。

これらを前提にすると、売上高の季節性はスライド下段の例のようなイメージとなります。

売上高の季節性イメージ

「成功報酬型」は、内定出しの時期のピークに合わせ、上段の図のとおり、6月から8月が山となっています。「早期定額型」は、受注は第3四半期、まさに今が一番の山となっていますが、すでにご説明した収益認識の関係で、2月に向かって積み上がるかたちとなります。

「早期定額型」のグラフをご覧いただくと、前年度の契約負債分が一番下の濃い青色の部分になります。中央の青色の部分が、当年度の入社合意枠部分となり、一番上の水色の部分が、同じく当年度の早期オファー枠部分の売上となります。こちらを前提として、決算に関して説明します。

2022年3月期 第2四半期実績サマリー

中野智哉氏(以下、中野):2022年第2四半期決算の概要についてご説明します。まず、業績のサマリーになります。就職活動のスケジュールはコロナ禍前の水準に戻っています。重要な点としては、オンライン選考がこの市場に非常に定着している状況になっていることです。

そのため、選考スケジュール・就職内定率はコロナ禍前の水準に戻っています。そのため、前年度と今年度の第1四半期・第2四半期の業績を比較する際、多少イレギュラーな動きになっています。

売上高は前年同期比35.3パーセント増と、順調に推移しています。また、「OfferBox」は、前年同期比42.5パーセント増で進捗しています。

投資に関するHR関連費用は前年同期比32.7パーセント増、プロモーション関連費用は前年同期比57.1パーセント増と、引き続き積極的に投資を実行しています。

「OfferBox」のKPIとなる、利用人数はしっかりと拡大しています。今年度の就活生にあたる2022年卒は18万3,000人、翌年度の2023年卒は7万8,000人と、順調に推移しています。企業登録数についても、前期末比16.1パーセント増の9,411社で着地しています。

2022年3月期 第2四半期 業績ハイライト

業績ハイライトです。売上高は先ほどお伝えしたとおり、前年同期比35.3パーセント増の11億5,100万円です。そのうち「OfferBox」は、前年同期比42.5パーセント増の10億1,000万円で着地しています。

また、スライドの一番下段にある受注高をご覧ください。受注が先に確定する収益構造になっており非常に重要な数字ですが、こちらも前年同期比33.3パーセント増の16億6,000万円で着地しています。

プロモーション投資も積極的に行っているのですが、赤字は前年比よりも縮小しています。

2022年3月期 各四半期の売上高および営業利益

四半期別のスライドを見ていただくと、冒頭にお伝えした第1四半期、第2四半期、前期と今期の比率が若干前後入り混じってところがあります。こちらが就職活動の時期における新型コロナウイルスの影響と見ていただければと思います。

2022年3月期 第2四半期 サービス別売上高

サービス別の売上高です。一番成長率が高いところが「OfferBox」の早期定額型で、前年比50.1パーセント増となっています。成功報酬型も34.2パーセント増です。そして子会社のイー・ファルコンが提供している「eF-1G」も6.8パーセント増で、順調に進捗しています。

OfferBox売上高の月次推移

「OfferBox」の売上高の月次推移ですが、こちらも第1四半期、第2四半期とも、しっかりと成長を積み上げている状況です。

各四半期のOfferBox売上高進捗率(契約負債考慮後)

弊社の今期の業績予想の進捗を見る上で、一番わかりやすい数字になります。先に受注が入ってきますので、受注高のうち今期に計上される売上の通期売上予想に対する進捗を示したものになります。

第2四半期段階で今期の業績予想の70パーセントに相当する売上が確定しています。前期の第2四半期末で69パーセントだったことを考えても、今期の業績予想のトップラインは順調に作ることができているのではないかと考えています。

2022年3月期 第2四半期営業損失 対前年同期比較

第2四半期の営業損失の比較になります。昨年の第2四半期の営業損失は4,700万円でした。売上高はプラス3億円、HR関連費用は1億8,000万円の投資、プロモーション費用は9,800万円の追加投資、その他が1,200万円で、第2四半期終わりの営業損失は3,900万円となっています。

各種KPI実績①:登録企業数の増加

KPIの実績ですが、登録企業はお伝えしたとおり順調に伸びてきています。

各種KPI実績②:登録学生数の増加

学生の登録も、今期の2022年卒は18万3,790人で、2023年卒も順調に成長している状況です。

各種KPI実績③:アクティブユーザーの増加

学生のアクティブユーザー数も、2022年卒、2023年卒も順調に成長しています。

各種KPI実績④:オファー送信及びオファー承認(累積)

決定人数に紐づく重要なKPIですが、まず企業側から学生へのオファー送信件数は前年度比50.9パーセント増となっています。オファー承認件数も48.1パーセント増と順調に成長しています。

昨年の市場環境と比較すると、やはりコロナ禍で採用自体が縮小するのではないかということで、学生の反応が変わっていたのですが、その混乱も落ち着きました。内定保有率も昨年より高い水準のため、オファー承認率はマイナス0.4パーセントと若干微減となっていますが、実態はオファー送信件数・承認件数共にしっかりと積み上げています。このあたりは今期、来期の業績に影響を与える重要なところになります。

各種KPI実績⑤:オファー送信件数及びオファー承認件数(単月推移)

オファー送信件数及び承認件数の単月推移です。

各種KPI実績⑥:決定人数の増加

最終的な決定人数も第2四半期末で4,354名と、前年度比49.9パーセント増となっています。

2022年3月期 業績予想の考え方

業績の見通しです。業績予想の考え方はご覧のとおりです。着地としてはもともと期初に出していた業績予想どおりで、見通しを立てています。

質疑応答:顧客企業における課題解決の進捗について

田中:「現在は顧客企業側の課題につきリソースを割いていると認識していますが、進捗はどうでしょうか?」という質問です。

中野:企業の課題については、解決してきている手応えを強く感じています。そのため、しっかりと企業の登録を進めていく段階にあります。登録のKPIはかなり順調に伸びており、9,411社となっています。企業の稼働が、オファー送信件数となります。

また、オファーの送信は、2022年卒においても前年同期比50.9パーセント増となっています。さらに、KPIで開示しているように、2023年卒もしっかりと成長しています。そのようなところを見ると、企業の採用課題について、「OfferBox」のようなダイレクトリクルーティングサービスを使った採用活動も、しっかりと提供できている手応えを感じています。

質疑応答:競争環境について

田中:競争環境について、「直近で、ワンキャリアやスローガンが上場してきていますが、新卒就職市場の競争環境について教えてください」というご質問です。

中野:実際のところ、競争環境と言いますと、直近では大きな変化はないという実感です。一番大きな市場の変化は、やはり昨年の新型コロナウイルスの感染拡大を受けてオンライン就活になったことでした。

他社というよりは、リアルの合同説明会や大学内での説明会がなくなったことにより、オンライン就活とダイレクトリクルーティングが非常に相性がよいという追い風がありました。これが直近で一番大きな変化になります。

その後、今期に関しても、(新型コロナウイルス感染拡大の)第3波、第4波、第5波と続き、現状、オンライン就活はかなり定着してきているため、いわゆる追い風というよりは、今後の就職活動自体が大きく変わっていくという転換期に入ったという印象を持っています。

弊社にとっては、環境の変化は昨年から起こったことが継続していて、さらに追い風というかたちで定着していると感じています。

質疑応答:新規参入の増加などの変化について

田中:「新規参入の増加などの変化があれば教えてください」というご質問です。

中野:新規参入は2年前よりは明らかに減っている実感があります。実際、一部新規参入されていた企業もサービスを停止され、弊社の「OfferBox」を取り扱うパートナー企業としてご契約いただくケースも出ています。比較的大型のサービスが残って、新しいところはなかなか出てこない状況になっています。

一部、業界特化型のかたちでニッチなサービスを展開するスタートアップ企業が出てきていますが、今のところ弊社にとって大きな影響はないと感じています。

事前に寄せられたその他の質問と回答

田中:今回の決算資料と併せて開示したQ&Aについてご紹介します。当社のコーポレートサイトのIRページに「2022年3月期第2四半期決算FAQ」という資料を開示しています。こちらについて、簡単にご説明したいと思います。

<質問1>

田中:「第1四半期末時点で受注高が前年同期比72パーセント増であったものに対し、第2四半期末時点で33.3パーセント増まで低下した理由は?」というご質問です。

スライドの5ページをご覧ください。こちらは、2つの要因があります。1つ目は「早期定額型」の受注の前倒し、そして2つ目は「成功報酬型」の受注の前倒しです。

1つ目の「早期定額型」の受注の前倒しですが、第1四半期の累計では受注確度の高い顧客から前倒しで受注できていたため、前年同期比で受注が大きく伸びています。

そして2つ目の「成功報酬型」の受注の前倒しについては、中野からも先ほどご説明したとおり、前期は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、企業の採用選考活動が一時停滞しました。そのため、学生の内定決定が7月から8月にかけてピークとなりました。

一方、当期は新型コロナウイルス感染拡大前の水準、つまり2020年卒の水準に戻ったことにより、学生の内定決定のピークが6月から7月頃となっています。

以上により、第1四半期の累計において受注が前年同期比で大きく伸びました。第2四半期累計でも受注高は予想どおりの進捗となっています。

<質問2>

田中:「契約負債(前受収益)の考慮後の『OfferBox』売上高とは?」というご質問です。

スライドに記載のとおり、早期定額型は、受注高を一定の期間、最長24ヶ月にわたり期間按分して、売上計上しています。

そのため、受注済・売上未計上のものは、B/Sの契約負債になります。このうち、当期に売上計上されるものとP/Lの「OfferBox」売上高を合算したものが、契約負債考慮後の「OfferBox」の売上高となっています。

表面上の売上高、P/Lの売上高よりも、実際の収益性は高いということで、ここまでは昨年同様7割の進捗ですので、順調に推移していると思っています。

<質問3>

田中:「2022年卒のオファー承認率が低下している理由は?」というご質問です。

KPIですが、オファー承認率は、学生の就職内定率の影響を受けやすい指標となっています。就職内定率が高ければ、就職活動を終える学生が増えるため、その分オファー承認率は低下する傾向にあります。

2021年卒の10月1日時点で、就職内定率は88.7パーセントだったのですが、今期2022年卒の同時期の内定率は92.4パーセントまで上がってきています。この影響で、オファー承認率は少し低下傾向にあります。

ただし、2020年卒と比較すると着実に改善されていることがおわかりいただけると思います。

<質問4>

田中:「オファー送信件数が大幅に増加している理由は?」というご質問です。

大きく2つの要因があります。1つ目は稼働企業数の増加です。登録企業数が順調に増加しています。また、営業部門の顧客フォロー体制の強化やワクチン接種の広がりなど、経済の正常化に向けて企業の採用意欲が高まっていることが、稼働企業数の増加につながっていると考えています。

2つ目は、1社あたりのオファー送信件数の増加が挙げられます。前期は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、新卒採用活動よりもテレワーク制度の整備などへの対応が優先されました。

その中で、コロナ禍での新卒採用手法が確立されてきたということがあります。昨年はまだそのような対応ができていなかったため、活動量自体が低下していたのですが、今年になって従来の水準に戻ってきているということで、オファー送信件数が増加しています。

また、先ほどお話ししたように顧客フォロー体制の強化により、1社あたりのオファー送信件数も増加しています。社数が増え、1社あたりの稼働量も増え、それらを掛け合わせることによってオファー送信数が伸びているということです。

中野:スライドの紺色の棒グラフが2022年卒になります。これは会計年度と違い、冒頭にご説明した就職活動のスケジュールに合わせた月次推移になっています。今期の4月は、グラフの中央にある「4月」と記載しているところからのオファー送信件数となります。

オファー送信は、昨年比で2倍以上になっているのですが、新たなオンライン就活に向けて学生が移行したことより、企業側も採用の根本的な戦略が変わってきたという影響が如実に表れているのではないかと感じています。

一方で、左側の薄い水色の棒グラフは、2023年卒の就活生に向けたオファー送信になります。4月から5月まではそれほど大幅に伸びているかたちではありませんが、6月以降伸びてきているのは、インターンシップもオンラインで対応することが定着してきた影響があるのではないかと推測しています。

いずれにしてもオンライン就活、オンラインインターンシップに移行していく中で、「OfferBox」の活用はフィット感が強いと感じていただけているのではないかと思います。また、弊社としてもどのような使い方がよいのか、オンボーディングのかたちでHR関連費用として積極的に投資をしています。その効果が一定程度含まれているのではないかと思います。

田中:オファー送信件数やオファー承認件数が決定人数に紐づく重要なKPIになっていますので、2023年卒の進捗は来期の決定人数にも影響を与えます。ここまでかなり順調な進捗といえるのではないかと考えています。

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