2021年11月12日に行われた、ランサーズ株式会社2022年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:ランサーズ株式会社 代表取締役社長 CEO 秋好陽介 氏

ハイライト

秋好陽介氏:ランサーズの秋好です。第2四半期の決算説明会をご視聴いただきまして、誠にありがとうございます。今から第2四半期の決算説明をさせていただきますが、ハイライトは3つあります。

1つ目は、再三お伝えしていますが、我々は3月決算で季節偏重があり、単純な業績予想の差分でいうと、1月から3月期が予算消化の関係で非常に伸びやすいです。そのことを勘案すると、今の進捗率、流通総額、売上高、売上総利益がどれも約50パーセントというのは、順調に推移していると思っています。

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また、上半期はプロダクト開発に非常に力を入れており、人員数も30名弱ほど増員して、創業以来で一番エンジニアをうまく採用できた上半期でした。非常にポジティブです。

一方で、新規のクライアントは今まで非常に好調に推移していましたが、緊急事態宣言が終わってコロナ禍が落ち着いたタイミングで、一時的にリアル側のビジネスに軸足が移り、10月になって少し戻ってはきているものの、8月や9月が想定よりも少し弱含みの状態でした。

実は今日、決算発表の2時間前にメディアの方を呼んで、ランサーズの新しいサービスを含めた戦略発表をしました。しっかりプロダクトを予定どおり出して、開発リソースもしっかり確保できたところは非常にポジティブですが、下半期については想定していたよりも、もう少し強めにセールスとマーケティングを行うことが、さらなる成長につながると考えているため、そのあたりを中心にお話しできればと思っています。

会社概要

会社の概要ですが、先ほど戦略発表をしましたが、我々は「個のエンパワーメント」ということで「テクノロジーで個人をエンパワーメントしていくこと」を2008年の創業以来掲げています。

前四半期の発表資料には、ビジョンとして「テクノロジーで誰もが自分らしく働く社会をつくる」ということで、「働くにコミットすること」をビジョンとして掲げていました。

ここからランサーズがさらに個をエンパワーメントしていく時に、企業の中の個人、特に経営者に向けて「すべてのビジネスを『ランサーの力』で前進させる」というビジョンを明確にすることにより、社内のメンバーを含めて、企業に対する価値提供をよりクリアにしていきます。今後のランサーズの展開を踏まえて、もちろん「働く」に関することを提供していきますが、過去に「MENTA」というサービスを提供する会社をグループ化したように、今回の教育サービスや「働く」ということに直接関わらないサービスなども含めて、「誰もが自分らしく才能を発揮し、『誰かのプロ』になれる社会をつくる」という、ワンミッション、デュアルビジョンという形で経営を推進していきたいと考えています。

サービスの概要

流通金額やサービスの概要は、スライドのとおりです。

サービスのターゲットと提供価値

基本的には中小企業が、スポットではなく継続して使うサービスになるということは、今期共有しているとおりです。この方針に沿って、いろいろな取り組みを行っています。

フリーランスの市場動向(新・フリーランス実態調査 2021-2022年版)

2015年から我々はフリーランス実態調査を行っていますが、フリーランスの人口はコロナ禍で1,500万人と非常に伸びており、引き続き1,500万人台後半まで伸びています。

一時的な揺らぎもあり、マーケットは9ヶ月前と比べると少しへこんでいるように見えますが、これはあくまでも踊り場であって、アメリカのフリーランス市場を見ても、基本的には伸び続ける傾向にあると考えています。

競争優位性:フリーランス一人あたりの受注金額(流通総額)

ランサーズが競合他社と違うところは、やはりビジネス利用のユーザーが多い点と、ハイスキルなユーザーが多い点です。他社と比べると1人あたりの報酬金額も2.5倍以上です。タスクや簡単な仕事をする人だけではなく、主に中・高スキルを持ったビジネス領域のユーザーが多い点が我々のサービスの特徴です。

競争優位性:コアとなる「信頼ランサー」

ランサーズの中で特に活躍しているランサーを「信頼ランサー」と呼んでいます。さまざまな取り組みにより「信頼ランサー」の数も順調に積み上がっており、前年同期比42パーセント増となりました。実績あるフリーランスの方のアクティブな登録が増えたことで、高い報酬を得ている人が順調に増えています。

業績サマリー

第2四半期の状況についてご説明します。全社で見ると、一部で事業撤退したこともあり、流通総額は前年同期比18パーセント増、売上は前年同期比12パーセント増、売上総利益は前年同期比11パーセント増となっています。

下半期は、マーケティング投資を増やしていくため、3ヶ年計画に向けて一時的に赤字になっています。しかし、これらの投資を除けば、四半期の累計で約1.2億円の営業利益を出せる実力はあるのではないかと考えています。

投資を除く営業利益及び営業利益の四半期推移(連結)

今期の基本方針としては、全体を伸ばすよりも、まずはマーケットプレイス事業の成長率を30パーセント台まで持っていき、3ヶ年計画に向けて40パーセントの大台に乗せるということを掲げています。これについて、さらに詳しくご説明します。

セグメント別サマリー

第2四半期累計では、流通総額は前年同期比28パーセント増となっていますが、単体で見ると当初見込んでいたよりも成長率は少し鈍化しました。特に8月、9月には20パーセント前後で停滞する状況が見られました。

マーケットプレイス事業の構造変化

主な要因としては、緊急事態宣言が終わって経済活動が再開することにより、オンライン以外の部分にも企業側の軸足が移って、10月には需要が戻ってきたものの、一時的に新規クライアントが弱含みの状態となりました。既存クライアントも同様で、前四半期と比べると成長率が鈍化し、流通総額は29パーセントほどとなりました。

ただし、これは一時的なものだと思っていますし、先ほどもお伝えしたとおり、新サービスをこの半年から1年くらいで仕込んできました。LTVを上げる取り組みなくしてマーケティング投資をしても非効率ですので、この新サービスによって、新しいクライアントに価値提供できる網の目が濃くなったと考えています。

新規クライアントの成長率が想定より少し弱含んでいるため、セールスとマーケティングを強化していくことで、まずは30パーセント増、そして40パーセント増まで拡大を狙っていけると見ています。

マーケットプレイス事業の投資進捗

プロダクト開発に関しては、昨今のIT人材不足の中で、半年で20人から30人のエンジニアを正社員ベースで増やしています。フリーランスのエンジニアも含めた多くの人員を導入して、開発力がより強化されているのは非常にポジティブな状況だと思っています。

ただし、オーガニックでも新規クライアント含めて伸びていくと想定していたところ、経済動向の状況変化によって、一時的に伸び率が若干マイナスに振れている現状もあります。これは、新サービス含めたカスタマーサクセスやマーケティング、そして直接のセールスを強化することで、半年から1年あれば十分に取り戻せる部分だと思っています。そのため、下半期は特にセールスとマーケティングを強化していきたいと考えています。

新サービスのリリースやリニューアル

今後、中小企業が継続してランサーズを使っていくために仕込んでいた新サービスについてご紹介します。1つ目は「Lancers Digital Academy」です。「信頼ランサー」が約40パーセントの伸び率で増加しているとはいえ、最近で言うとSaaSのツールや、技術的な新しいトレンドは常に発生しており、エンジニアは新しいスキルを学び直す必要があります。そのため、ただスキルを持っている人にランサーズに登録してもらうだけでは競争優位が作れないと感じています。そこで、我々がコミットして、仕事と連動する形で教育できる事業を新規に立ち上げます。

2つ目は「パッケージ方式」のリニューアルです。国内であればココナラ、海外ではFiverr(ファイバー)といったスキルシェアサービスが非常に伸びていますが、個人の占いや恋愛相談といった領域は我々のビジョンに一致しないため、ここは手を出すべきではないと思っています。しかし、高単価なビジネスのスキルシェアは我々としても間違いなく押さえていかないといけないと思っています。そのため、この半年間で「パッケージ方式」をリニューアルしてきました。

3つ目は「Lancers Teams」です。今までとは全く異なる仕事ができるサービスの提供を開始しています。

「信頼ランサー」の拡大:プロフェッショナル人材の育成

「Lancers Digital Academy」について詳しくご説明します。前回の決算発表の資料でも、Shopifyの教育プログラムを受けて認定バッジを付けている人が、Shopifyの案件をランサーズ上で受注する確率が非常に上がっているとお伝えしました。

「Lancers Digital Academy」では、Shopify以外のデジタルスキルを含めて、「売れるスキル」を我々がコミットして教育します。この教育に対しては1人あたり数十万円、場合によっては50万円ほどの料金をいただいて、Shopifyの認定バッジをプロフィールに付与します。そして、認定を受けた方には特別にShopifyの案件をご案内します。教育と実際の仕事が一気通貫で提供できるのが「Lancers Digital Academy」です。

昨年1年かけてShopifyで行ってきた取り組みを仕組み化して、さまざまなビジネススキルに応用します。年間1万人くらいの卒業生を送り出せると思っていますし、それができれば「Lancers Digital Academy」単体で数十億円規模のビジネスになると思っています。そして、単体での収益も狙えますが、なによりも優秀な個人を「ゼロイチ」で輩出できる機能を持つことは、競争優位性をさらに高める取り組みだと思っています。

半年などの短期的にP/Lに影響する事業ではなく、2年から3年をかけて成長するビジネスではありますが、中長期的にはランサーズの競争優位性である「信頼ランサー」のデータベース強化に非常に効いてくる取り組みです。Shopifyでの経験を踏まえて自信を持っていますので、しっかり時間をかけてユーザー数を増やしていきたいと思っています。

新規流通総額の拡大:スキルの商品化

ビジネススキルシェアの領域、特に出品型のスキルシェアに関しては今までそれほど強く取り組んできませんでした。出品型の仕組みではアメリカのFiverrが有名ですが、直近ではUpworkもプロジェクトカタログという形で出品型を強めてきました。

また、国内ではココナラがこの領域を強化しており、ランサーズとしても特にハイスキルのビジネス領域での出品型を圧倒的に伸ばしていきたいと考えています。半年以上仕込んで、ようやく正式にリリースすることができました。

特徴としては3つあり、まずサービスを見ていただくのが一番わかりやすいです。ビジネスに本当に必要なカテゴリーを非常に細かく分けており、それが今、350種類くらいになっています。

また、競合だとワンコイン、つまり500円で出品できるのですが、我々は本当に企業の方にご満足いただける1万円以上のものしか出品できないようにしています。かつ、フルでなんでも出品できるわけではありません。

Shopifyを例にすると、「350分の1」のカテゴリがShopifyの運用なわけですが、その「350分の1」のカテゴリの中でもページ数、商品数、プラグインやデジタルカスタマイズなど、Shopifyというカテゴリーに応じて標準化されたパッケージとなっています。こうしたものを350パターン用意しているわけですが、これはAIのアルゴリズムによって日々のユーザーの行動履歴から解析されているわけです。さらに、ユーザーも簡単に出品できます。

企業の立場からすると、質問する前に聞きたいことがパッケージの中でわかり、簡単にマッチングして買えるサービスとなります。すでにランサーズではたくさんの登録ユーザーがいるため、新規サービスとはいえ、リリース初日から非常にたくさんの出品がありました。

このパッケージができることで、冒頭に申し上げたマーケティングが非常に細かくできるようになっているため、パッケージのリリースとあわせて、下半期はクライアントマーケティングに徹底的に取り組んでいきたいと思っています。

海外では、Upworkの新規流通の10パーセント強ほどがこのパッケージでの流通になっており、Upworkの通常利用よりもパッケージの方がコンバージョン率が高いという開示もありました。

ランサーズのトップページを見るとパッケージがメインのコミュニケーションになっており、開始1ヶ月後から流通の半分になるということはないと思いますが、しっかりユーザーに認知が進んでいけば、新規流通の10パーセント以上がパッケージになると思います。

買いやすいということはリピートしやすいということです。リリースして終わりではなく、ここからがスタートのため、半年から1年かけて、中長期で1人あたりのクライアント単価のLTVを上げていくことにつながるような状態に持っていきたいと考えています。

既存流通総額の拡大:マッチングの多様化の促進1/2

新規のクライアントを増やす以上に、既存の流通をさらに拡大する取り組みを紹介させてください。

ランサーズは今まで、あくまでも、中小企業の方が1人か2人のフリーランスに発注するという取り組みがメインだったのですが、よりコアにランサーズを使っていこうとすると、どうしても複数人のフリーランスに発注することになります。

場合によっては「今は発注しないが、将来発注するかもしれない」というような 発注予備軍の人たちも、会社として管理したいというニーズもありました。そこにお答えするのが「Lancers Teams」という、あたかもクライアントの第2開発部のようなものです。自社の社員だけの開発部といったものはあると思いますが、面談を終えたフリーランス、もしくはOB、OGのような方をプールしておき、必要なときにこの方たちに発注するというサービスになっています。

先ほどの戦略発表会でも共有させていただいたのですが、実はランサーズ自身が1年半前に「Lancers Teams」のプロトタイプのようなものを作っていました。当時は社員のエンジニアが50名で、3ヶ月でフリーランスの社外エンジニアを50人ほど加えました。

例えば、第1開発部は社員50人、第2開発部はフリーランス50人で、そのうち常時15人くらいに発注するかたちにすると、重要だけど緊急ではない仕事が非常に進んでいきます。そのように「採用はなかなかできないけど、一時的に発注したい」という企業のニーズをフリーランスで解決していくサービスの提供を開始しました。

すでに半年くらい前からステルスでは実施しており、上場企業含めて5社ほど導入していただいています。サービス自体のコンセプトが新しいため、理解してもらうまでにはどうしても時間はかかります。しかし、1回契約いただくと、50人から100人の自社専用のエンジニアプール、デザイナープール、マーケタープールができ、なかなか剥がれづらいのが特徴です。ランサーズをより深く利用してもらうために価値あるサービスだと思いますので、中長期的観点で伸ばしていきたいと考えています。

既存流通総額の拡大:マッチングの多様化の促進 2/2

既存の流通をさらに増やす取り組みとして、ショットでの発注ではなく、月額で誰もが契約できる月額報酬制も始めました。これにより、個人と企業との関係性がより長期化するようになりました。また、どうしても法人に頼みたいというニーズに対して、我々が認定する法人パートナーを紹介して、フリーランスの方のマネジメントを代行するサービスも始めました。

他にも細かい取り組みはしているのですが、「ランサーズを使いたい」というクライアントのニーズにきめ細かく応えるサービスを用意することで、上半期は企業のLTVを上げる準備をしっかりできたと思います。

下半期については、新しくできたプロダクトに対してセールスとマーケティングをより大胆に行うことで、新規の流通も既存の流通もしっかり伸ばしていきたいと考えています。

3カ年(2024年3月期)の目指す姿及び経営方針

再掲になりますが、3年以内にマーケットプレイス事業で成長率40パーセント台を目指します。そして、3年後には継続的に一定の利益率で流通金額を増やしていき、それに伴って利益もずっと拡大していくようなフェーズに入ることを目指します。そのために、まずは1ヶ年目である今年の業績をしっかり進捗させていきたいと考えています。

その他にも、地銀との取り組みなどもあるのですが、まとめると、第2四半期の時点では進捗率50パーセントで順調に推移しており、プロダクトの仕込みはしっかりとできたと思っています。一方で、足元では対クライアントでの伸びに関しては、オーガニックでさらに伸びると思ったところはギャップが生じています。

新しいクライアントは今までのランサーズのユーザーよりはリテラシーが高くないところもあるかもしれず、それがギャップにつながっていると考えています。新しいプロダクトを含めて、新しいユーザーに向けたマーケティングセールスにより密に投資していく下半期にしたいと考えています。

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