DCのデメリットや加入しない理由は?

総合的な質問として、DCの良い点、良くない点を聞いたところ、DCの良い点で上位に挙がった回答のうち最も多いのは「節税効果がある」。次いで、「自分で運用先を選択できる」「60歳まで引き出せず、老後資金として確保できる」となっています(選択肢から複数回答可)。

一方、DCの良くない点では、「60歳まで引き出しができない」が最も多く、特に女性、年収500万円未満、若年層で多いという結果になりました。また、「細かいルールがたくさんあってわかりにくい」「自分で運用しなければならない」が上位にきています。

このように、「60歳まで引き出せない」や「自分で運用する」というDCの特徴は、プラスに捉える人も、マイナスに捉える人もいることがわかります。

さらに、DC制度の詳細を知っているのに加入していない人に聞いた理由でも、最も回答が多かったのは「60歳まで引き出せないから」でした。この理由を挙げた人を年齢層別に見ると若年層が6割強で、やはり60歳はまだまだ先という若い人には加入のハードルとなっているようです。

おわりに

本稿で紹介したのはフィデリティ投信による調査の一部ですが、「運用の成果を左右した理由」をみると、日頃から投資をするうえで大切だとされる長期投資と分散投資がDCの運用でも重要だと言えそうです。

DC制度は、将来受け取る国民年金や厚生年金に自分で運用した年金が上乗せされる制度です。60歳まで引き出しできないという点はデメリットかもしれませんが、それは老後の資金に手をつけることなく着実に準備ができるという良さでもあります。すぐに引き出せるお金も確保しつつ、無理のない金額から始めてみてはどうでしょうか。

参考資料

中野 令子