少し前にコロナ離婚という言葉が流行しました。新型コロナウイルスは、それまで見えなかった夫婦の価値観の違いが浮き彫りになる一つのきっかけとなったことでしょう。

離婚を考える際、その第一歩となるのが別居です。ただ女性の場合、結婚時は正社員やフルタイムで働いていても、離婚前は専業主婦や扶養内パートという方もいますよね。厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、離婚前に就業している母は75.8%。そのうちパート・アルバイトが半分以上を占めます。

身動きをとりにくい専業主婦や扶養内パートの方は、簡単に別居へ踏み切れない場合もあるでしょう。今回は離婚前の別居に関わるお金についてみていきます。

別居できるお金はある? 離婚前の母親の就業状況とは

離婚前には、離婚事由となる問題がある中で話し合いをすることになります。ただ、同居しながらではうまく話し合いにならないケースもあります。時には弁護士が間に入ったり、調停や裁判となったりすることもあるでしょう。

その場合、離婚へ向けて第一歩となるのは別居ですが、理由があり実家に戻らない方もいます。離婚前は公営住宅には入居できない場合が多い(DV被害者は離婚手続前でも申し込める場合が多い)ため、基本的に賃貸に住むことになります。

賃貸で別居となると、引越し費用や敷金・礼金、家賃などが必要になるでしょう。荷物量や距離、家賃、地域などにより差がありますが、初期費用として50万円ほどは別居費用として用意しておきたいですね。

ただ、専業主婦であったり家計に余裕がなかったりすると、この金額が用意できない場合があります。先ほど離婚前に就業している母親は75.8%でしたが、詳しい就業状況をみてみましょう。

ひとり親世帯になる前の母親の就業状況 

就業している母親:75.8%

  • パート・アルバイト等: 54.7 %
  • 正規の職員・従業員: 32.1 %
  • 自営業:3.7%
  • 派遣社員:2.9%など

働いている母親はパート・アルバイトが多いですね。働いていない母親も約24%いると考えられます。

同調査では、母子世帯になったときの母親の平均年齢は33.8歳で、末子の平均年齢は4.4歳。子どもが未就学児だと体調を崩しやすく手もかかるため、専業主婦や扶養内で働く方も多いですよね。

乳幼児を抱えた母親自身の収入はどれくらいでしょうか。

2021年10月19日に公表された、明治安田生命が0歳から6歳までの子どもがいる既婚男女1100人(女性は550人。うち、共働き330人・専業主婦220人)に行った「子育てに関するアンケート調査」では、子育て中の女性の平均収入は163万円でした。

今は1人で育児を行うワンオペ育児のため、女性が仕事を辞めたりセーブしたりする家庭が多いでしょう。ブランクがあり、さらに小さな子の育児と仕事の両立となると、仕事面では厳しいのが現状です。