最近はSDGsとともに、ESG投資というキーワードも注目されつつあります。そこで今回は、国連のウェッブサイトを参考にしながら、PRIについてみていきます。

PRIとは何か

PRIはPrinciples for Responsible Investmentの略でPRIと表記されます。PRIは「責任投資原則」「責任投資の原則」とでも和訳できましょうか。

ウェッブサイトでは「PRIは責任投資において世界の主要な提案者となっています」とされています。PRIが人みたいな存在になっていますが、まあここは無視して話を進めましょう。

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また、PRIは以下のようなときに機能するといっています。

  • ESG要因と投資の関係性を理解するため
  • 投資家で調印した内部ネットワークのものが、投資や保有する意思決定を行う際に、それらの決定にESG要因を組み込むための支援

こうしてみると、PRIはまだ完全にESG要因と投資の関係性を証明しきっているというわけではなさそうです。その関係性というのはESGを意識した投資を行えば、「投資として」リターンがあるという関係性です。

この関係性については様々な実証分析がなされていますが、すべての分析でESGが投資に対して超過収益を得られるという結果にはなっていないことに留意が必要です。ゆえにまだ「理解をする」という程度の表現で止めているのでしょう。

また、署名者の内部ネットワークの支援とありますが、これはESG要因が様々でこれっといったものが決まっているわけではないので、そのあたりの複雑性がカギとなります。

ESG投資をはじめるぞといっても基準が明確ではないので、それらをサポートするものが必要というわけです。これだけ見るとなんだかインナーサークルの基準のようですっきりしませんね。

そして、PRIは以下のような主体や領域での長期的な利害において役割を果たすとしています。

  • 署名者
  • 署名者が投資をする金融市場と金融経済と最終的には全体としての環境や社会

上ではガバナンス(統治)というキーワードは出てきません。そもそもESGがMECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)でないという指摘もありますが、結局はESGの結果としてインパクトは与えたいというのは、投資家起点で環境と社会ということになります。

PRIはまた独立性もうたっています。以下、ウェッブサイトを見ながら考えていきましょう。

PRIは投資家に責任投資を通じて、リターンの改善を強化したり、よりよいリスク管理を働きかけています。しかしながら、PRIは自己の利益のためだけに影響があるのではない、ともしています。

そして、PRIは世界の政策立案者を参加させますが、特定の政府と協力するわけではない、ともしています。

PRIは国連からの支援は受けていますが、国連の一部ではないとしています。

これを読んだだけではすっと腹落ちしない人も多いのではないでしょうか。

PRIは、投資家のメリットを強調するけれども、投資家の利益のためではないといい、政策立案者を巻き込むといいながらも、いかなる政府とも協業しないといい、国連の支援はありながらも国連の一部ではないと。

なんだか禅問答のようです。

文字通りとれば、PRIはいかなるものにも縛られない完全に独立した存在となって、誰もがそれに従うようなルールにしたいということでしょう。

6つの責任投資の原則とは何か

PRIには6つの原則があります。

6つのPRIは投資においてESGの課題を組み込んでいくためにとりうる可能な行動のメニューを提供しています。

これらの原則は投資家により、投資家のために提案されています。それらを実装するために、PRIの著名者である投資家はより持続可能なグローバル金融システムの構築に貢献していくとのことです。

6つの責任投資の原則は世界の機関投資家の大半を代表するような署名者を惹きつけてきたといいます。

では、その6つの責任投資の原則はどのようなものでしょうか。

6つの責任投資の原則

  • 原則1:私たちは投資分析と意思決定にESGの課題を組み込んでいきます
  • 原則2:私たちは積極的な所有者となり、投資先の保有政策や習慣へESGの課題を組み込んでいきます
  • 原則3:私たちはESGの課題において、私たちが投資をしている主体から適切な開示を求めます。
  • 原則4:私たちは資産運用業界において、本原則が受け入れられ、実行できるように努めます
  • 原則5:私たちは、本原則を実行する際により効果が出るように協業します
  • 原則6:私たちは自分たちの活動を互いに報告し、原則が実行できるように前に進みます

これらはつまり、投資をする際の注目点、つまりテーマにおいてESGを組み込もうとするものです。

企業は様々な領域で事業を行っていますが、投資家がこの原則に署名したその日から、企業の事業領域にかかわらずESGの観点から監視されるということを意味します。企業からすれば、これまでは結佐においての数値的な観点からの監視というものはあったかもしれませんが、新たにESGにより生まれた基準によって監視されるということになりました。

PRIのミッションとは何か

ウェッブサイトでは以下のように言っています。

「私たちは、経済的に効率的で、持続可能な世界の金融システムは、長期的な価値創造にとっては不可欠であると信じています。」

「PRIはその原則を積極的に採択し、実行することにおいて協力していくことで持続可能な世界の金融システムを実現できることに役立っていきます。そしてそれは、これまで以上の統治、高潔さ、説明責任を確立することによって、また市場慣行、構造、規制の範囲内にある持続可能な金融システムへの障害となる課題に取り組むことでより機能します。」

PRIのミッションは、持続可能な世界的な金融システムの構築といっています。急に金融システムの話になり、正直唐突感があります。

何はともあれ、PRIのミッションは持続可能な世界的な金融システムの確立にあるといっています。

どのようにPRIはスタートしたのか

2005年初めに、当時の国連事務総長であったコフィー・アナンが、世界的に大きな機関投資家をPRI構築のためのプロセスに参加するように招待をしました。資産運用業界、政府間組織や市民団体からの70名の専門家グループが12の国の機関投資家から選ばれた20人の投資家グループを支えていました。

そうして生まれた原則は2006年4月にニューヨーク証券取引所で発表されました。それ以来、著名者の数は100から4000以上にも膨らんでいます。

こうしてみると、PRIは2005年から構想が練られ、2006年にお披露目されたことになります。そして、そのコンセプトは機関投資家中心であったということがわかります。つまりは、機関投資家にとって都合の良い発想が組み込まれている可能性があるということです。

PRIは誰の経済的支援に依っているのか

PRIは主には署名者全員が支払う年間メンバーシップのフィーによって支えられています。それ以外には、政府、基金や国際的な組織からの支援によって賄われています。

【参考】設立署名者リスト例

ABN AMRO Asset Management
Amalgamated Bank
Aviva Investors

Banco
Bank Sarasin & Co. Ltd
BC Investment Management Corporation
BNP Paribas Asset Management
BT Pension Scheme

Caisse de dépôt et placement du Québec
Caisse des dépôts et consignations – CDC
CalPERS
Calvert Group
Canada Pension Plan Investment Board
Candriam Investors Group
Catholic Superannuation Fund
Christian Super
CIA (Caisse de Prevoyance du Canton de Geneve)
Comité syndical national de retraite Bâtirente
Connecticut Retirement Plans and Trust Funds (CRPTF)
Crédit Agricole Asset Management Group

Daiwa Asset Management Co. Ltd
Domini Social Investments

Etablissement du Régime Additionnel de la Fonction Publique – ERAFP
Ethix

F&C Asset Management
Folksam
Fonds de réserve pour les retraites – FRR
FTSE Group

Generation Investment Management LLP
GES Investment Services
Government Pension Fund of Thailand
Government Employees Pension Fund of South Africa
Groupama Asset Management

Henderson Global Investors
Hermes Pensions Management

Insight Investment
International Finance Corporation

Macif Gestion
Mennonite Mutual Aid
Mercer Investment Consulting
Mitsubishi UFJ Trust and Banking Corporation
Munich Reinsurance AG

Nathan Cummings Foundation
National Pensions Reserve Fund of Ireland
New York City Employees Retirement System
New York State Local Retirement System
New Zealand Superannuation Fund
Norwegian Government Pension Fund

onValues Ltd

PGGM Investments
Portfolio Partners Limited PREVI
Public Sector Superannuation Scheme

Reputex

Storebrand
Sumitomo Trust
Stichting Pensioenfonds

Teachers’ Retirement System of the City of New York
Threadneedle Asset Management Ltd
TIAA – CREF
Trucost

United Nations Joint Staff Pension Fund1
Universities Superannuation Scheme – USS

Vigeo

Wespath Investment Management (General Board of Pension and Health Benefits United Methodist Church)

参考資料

泉田 良輔